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今回の金子千尋のFA宣言から考える〝ルールの不備〟【小宮山悟の眼】

千葉ロッテ、さらにはニューヨーク・メッツでプレーし、現在プロ野球解説者・評論家の小宮山悟氏の連載がスタートする。さまざまな球界のニュースや動きに対して、小宮山氏の眼にはどう映るのか? 新しい野球のミカタをファンの皆さんに提示していきたい。第1回目は、今回の金子千尋投手の国内FA宣言についてだ。

2014/12/07

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今回の一件、別の交渉術もあったのでは?

 現行のルールでは、メジャー移籍を希望する選手は、何年もその希望を球団にアピールし続け、球団側は、選手が海外FA権を取得する前年にポスティングシステムでの移籍を許可するという流れができるだろう。

 日本の球団の立場で考えてみると、海外FAでの選手流出だけは避けたいパターンだ。

 ポスティングシステムならば入札金が手に入るし、国内チームへのFA移籍でも、補償金や人的補償を得られる。だから、選手に何の補償もない海外FA権を行使されるくらいなら、ポスティングシステムでのメジャー移籍や、国内チームへのトレード移籍を選択したほうが得だ、となるわけだ。

 しかし、その流れも長くは続かないだろう。

 MLB側は、ポスティングシステムの入札金を抑えたいと思っているはず。実際、昨年制定された新ルールでは2000万ドルという上限が設けられた。いくら日本人選手が優秀だからと言って、いつまでも、青天井バジェットで獲得しようという時代は続かない。

 特に今年、キューバ選手の国外プレーが解禁になったことで、その流れは加速するだろう。だからこそ、一刻も早く、穴のない完璧なルール作りのための話し合いの場が設けられるべきなのだ。

 さて金子の件に話を戻すが、あえて金子サイドに苦言を呈すなら、「別の交渉術もあったんじゃないか」とは思う。
 ルールに反していないとはいえ、その隙間をぬったような手法なのだから、それをいきなり披露するのはあまりフェアではない。

 たとえば下交渉で「ポスティングシステムでのメジャー移籍をお願いしていますが、ルール的には、国内FA権も同時に行使できますよ」というふうに球団側へ伝えれば、また違った展開になっていたのではないだろうか。

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