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ソフトバンク・工藤監督はなぜ打順固定を図らないのか? 常勝王国築く指揮官の狙い

福岡ソフトバンクホークスは交流戦に入っても負けない。パリーグ3連覇に向けて勢いは加速。首位を独走する王者の強さはどこにあるのか。

2016/06/14

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打線固定をせずに、競争意識を持たせる

 だからこそ常にいい意味での「もしかすると自分は控えメンバーと入れ替えられてしまうのではないか」という危機感や「ライバルに負けたなくない」という競争心を『絶対安泰ではない選手』たちに生み、グラウンド上のプレーにおける必死さにつながるのである。

 工藤監督の狙いは、まさにそこにあると言っていいだろう。

 筆者が個人的に取材を重ねている他球団スコアラーの中からは、今季のソフトバンクの強さについて次のような共通見解が出ている。

「これだけ打者陣の層が厚いと普通ならば、やはり打順固定を図りたくなるもの。だが工藤監督は余程の抜きん出た能力がない限り、選手に競争意識を極力持たせるように心がけている。『ぬるま湯』に浸からせたくないという思いを抱いているからこそ、チーム全体が常に活性化されるのだ。どんな相手に対しても常に妥協なき姿勢で臨むことによってほぼ毎試合、圧倒的な勝利を得られているのだろう。正直言って……もう誰も手が付けられない強さだね」

 今季も『ソフトバンク旋風』は衰え知らず。戦術家・工藤監督の絶妙の采配及び起用法によって、そのチーム力はより進化を遂げ、青天井の勢いで強さを増していきそうだ。

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