大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



上位を狙う西武の新しい試み。プロ球界初、夏場対策の秘密兵器を導入

パリーグ4位と低迷する西武が、このほど夏の暑さ対策のために、新鋭機器を導入する。

2016/06/03

text By

photo

セリスタ株式会社



坂元忍コーチが語るコア・コントロールの効果

「ようやく届きました。今日、先発の(佐藤)勇に使ってもらおうかな」

 西武の坂元忍トレーニングコーチが5月31日の試合前、まるで新しいゲームを手にした少年のように声を弾ませた。DeNAとの交流戦初戦を迎えたこの日、佐藤によればまだ使われなかったとのことだが、2軍の試合ではすでに導入されている。

 坂元コーチは「まだ季節的に暑くないですから」と今の時期の試合でどこまで効果を発揮するかはわからないとしたが、自身で使ってみて、その効用を確かに感じた。

「ピッチャーなら、グローブをはめているほうの手を器具に入れて使います。僕がやってみて『だいぶ冷えたな』と思って、周りに触ってもらったら『そんなに冷えてない』と言っていました。つまり、体の中が冷えているということです。西武ドームでは夏場の対策が必要になるので、飲み物などを含め、夏場に向けて対策を打っていきたい」

 コア・コントロールは3~10分で効果を得られるため、野球ではイニング間にどれだけうまく使えるかがポイントになる。先発投手のなかにはベンチに帰ってくるたび、イニングごとにアンダーシャツを着替える者もおり、攻撃が早く終わると使用は難しいかもしれない。

 ちなみに、野球では「肩を冷やすな」と言われるが、その理由を簡単に説明すると、「肩を冷やすと血管が収縮し、血行が悪くなるため、疲労回復が遅れる」からだ。一方、コア・コントロールは血流を促進させる効果があり、「肩を冷やすな」という言い伝えの趣旨に反することはない(蛇足だが、「肩を冷やすな」やアイシングの是非は専門家の間で議論が交わされ、答えはいまだに出ていない)。

 果たして、シーズン中盤に向けて投手陣を整備している西武にコア・コントロールはどんな効果を与えるのか。グラウンド上の戦いに影響を及ぼす、裏側の夏場対策にも注目していきたい。

1 2