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野球人の意地。弾き返されても、それでも前へ――星秀和、トライアウトを終えて【中島大輔 One~この1人をクローズアップ】

11月9日、20日と2回の12球団トライアウトが行われた。ベースボールチャンネルでは、独立リーグから、再びプロ野球入りを目指す元埼玉西武ライオンズの星秀和を追いかけてきた。2回のトライアウトを終えた今、星は何を思うのか。

2014/11/25

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不完全燃焼に終わった2回目。それでも前進している

 2回目のトライアウトでは、運に見放された。藤谷周平(前ロッテ)と対戦した1打席目はピッチャーゴロに倒れると、以降、3打席連続で四球。5打席目は芯でとらえてライトにヒットを弾き返したものの、描いていたようなインパクトを残すことはできなかった。

 トライアウト終了後、星は自嘲気味に振り返っている。

「ダメでしょ? 全然爪痕残っていないでしょ? 引っかき傷くらい。1本のヒットでは何の目にも止まらないですね」

 1回目のトライアウトの後には、「ボール球に手を出した」ことを反省していた。だが同時に、「しょうがない」とも語っていた。「見ていたら終わっちゃいますから、2球で」
 トライアウトは1ボール、1ストライクのカウントから始められる。投手も打者も、必要なのは積極性だ。だが2回目は、思うようにバットを振れないまま不完全燃焼に終わった。

 テレビ局のディレクターに「やり切れた感は?」と聞かれた星が、うつむきがちに答えた。

「それは結果が伴っていないから……。悪くはなかったと思いますけど」

 これでアピールのチャンスは終了した。来季に向けて、星はどういう道を選択するのか。1回目の後には、こう話していた。

「野球をできれば、どこだっていいです。2次でダメだったら、海外に行っちゃおうかな(笑)。プロ野球が一番いいけど、もちろん群馬もあるし、来年には埼玉にもチームができるし、台湾もある。本当は海外に行きたいと思っています。台湾はナベさん(渡辺久信)がいたから、口添えしてもらってと密かに考えているんですよね」

 2回目のトライアウト終了後、1週間は連絡を待つ予定だという。その後、本格的に動き出すつもりだ。

「決まったら、LINEでスタンプ送ります!」

 そう言った星は、笑みを浮かべていた。

 おそらく来季、プロ野球への復帰が難しいとわかっているにもかかわらず、なぜ、明るく振る舞えるのか。その理由は、去年の自分より明らかに前進しているからだろう。

 1年前の冬は右ヒジの手術を終えたばかりで、患部をギブスで固めている状態だった。だが少なくとも、いまは野球をすることができる――。

 来季、どこかでプレーしている星の姿を、ベースボールチャンネルで再びレポートする。

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