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千葉ロッテ古谷、ホークスキラーとしての期待。異色の理系投手がこだわる「脱力投法」で脱・里崎なるか【ほぼ月刊マリーンズ#12】

QVCマリンフィールドに新ビジョンもお目見えして、オープン戦もいよいよたけなわとなってきた今回は、6日のバファローズ戦で好投した投手最年長・古谷拓哉をフィーチャー。残るローテ枠入りに向けてアピールを続けるベテラン左腕の肉声をお届けしよう。

2016/03/09

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テーマは「がんばらないで、力を出す」

「このキャンプでは、去年のオフから引き続いて、自分のなかでの課題に取り組んでいるところなんで、それに関してはもうちょい時間がかかるかなと。ただ、体はすでにできあがってますし、ローテ入りして1年間しっかりチームに貢献できるよう、そこはうまく調整していくつもりです。課題が何かって? 簡単に言えば、『がんばらないで、いかに力を出すか』ってことですね。これまでは力が入りすぎて自分の感覚を狂わせてたところがあったんで、基本に立ちかえって、いい意味で力を抜いていけたらなと思ってます」
 
 石垣島でのキャンプ中にそう語っていた古谷拓哉が、6日のオリックスバファローズ戦(わかさスタジアム京都)で5回3安打無失点と好投。実戦初登板にしていきなり、伊東勤監督から「こんな感じだったら厳しい」と苦言を呈された2月27日の福岡ソフトバンクホークスとの練習試合(アイビースタジアム)とはうって変わった、クレバーなピッチングを披露した。
 
 前回の登板では、初回を危なげなく三者凡退に切ってとりながら、内川聖一や松田宣浩といった“乗せてはいけないバッター”に打たれて失点を許すという心配な内容だっただけに、今回の結果には、ファンとしてもひと安心。次の登板でも、彼がそれなりの安定感を見せてくれれば、流動的となっている6番目のローテ枠も埋まって、名実ともに臨戦態勢も整うというものだ。
 
 とは言え、懸念材料は当然ある。本来は自他ともに認める「考えすぎるタイプ」でもある彼が13年にマークした9勝1敗、防御率2.73という好成績は、言ってみれば、里崎智也という“女房役”がみせた「マウンドで考える時間を与えないリード」のたまもの。引退によって里崎氏がチームを去った昨年の彼の成績が3勝4敗、防御率4.42と奮わなかったのは、すべてがそうとは言わないまでも、この問題とも決して無関係ではないだろう。
 
 当の古谷自身も「自覚はある」としながら、こう続ける。
 
「実際、里崎さんに頼っていた部分は大きかったし、それが自分にとってもベストだったことは間違いない。その後の成績については『どうしたらいいんだろう』とは思いつつも、あのときを超えるかたちを作りきれなかったっていうのが正直なところです。もちろん、里崎さんと他のキャッチャーとでは考え方もスタイルも違いますから、同じことをやろうってつもりは全然ないんです。ただまぁ、いまいるキャッチャーはみんな年下だし、僕も試合になるとつい感情的になってしまうので、なかなかね(苦笑)。言葉数を増やすっていうより、空気感でお互いが分かるようにしていけるのが、いちばんいいとは思うんですけどね」
 
「そこは年の功で古谷さんが……」と水を向けると、「ただ早く生まれたってだけで、この世界は実力がすべてですから」と、古谷は笑う。だが、ただでさえ若いチーム。投手最年長である彼が、本来の輝きを取りもどせるか否かは、長いペナントレースを戦いぬくうえでも、ことのほか大きな意味を持ってくると言っても過言ではない。

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