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若いチームを支える宮西、谷内の働き。経験から培われた職人の「何とかする力」【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#200】

開幕して2カ月。試行錯誤しながらも着実に勝つための形が見えてきたファイターズ。中でも2人のベテランの働きが見逃せない。

2023/05/27

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産経新聞社



怪我人続出の野手陣、攻守でけん引する谷内の存在感

 一方、谷内亮太の活躍も特筆ものだ。加藤豪将、石井一成と続いた「内野手の戦線離脱」の穴埋めというだけでなく、今、ファイターズの野手陣を攻守両面で支えているのは谷内だと思う。セカンドに入っても、野村佑希の守備固めでサードに入っても、「振り返れば谷内がいる」の好守連発。上位を打たせても下位を打たせても、つなぎのバッティングでチャンスメークし、あるいは勝負どころで技術の高さを見せる。
 
 谷内の「何とかする力」が発揮された好例は18日の西武戦だろう。2対2で迎えた7回裏、二死満塁の場面、打席に向かったのは守備固めで出場していた谷内だ。谷内は7回表、(多少、懲罰的な意味合いも兼ねて)野村に代わって守備に入った。若き主砲・野村は悩んでいた。だから裏の二死満塁の場面は「売り出しのスラッガー野村」ではなく「守備固めの谷内」が打席に向かったことになる。
 
 但し、谷内は頼りになるのだ。今、現時点なら「何とかする力」は野村より谷内が勝る。西武・佐藤の151キロをセンターに弾き返した。勝ち越しタイムリー。ヒーローインタビューがまた良かった。
 
 「若い選手が多いなかで、どんなときでも言われた仕事ができるように準備して、それをしっかりやるっていうところが僕がみんなと違ったところで勝負できるところ。少しでも監督が使いやすい選手になりたい」
 「(野村佑希は)まだ高卒5年目の選手ですし、そこまで一人で背負い込まなくていいと思う。次は野村が打ってくれると思うので、応援お願いします」
 
 こんな頼りがいのある先輩がいるだろうか。二死満塁で適時打を打っただけでなく、ベンチに下がった野村の心も救ってくれた。チームをチームとして繋ぎ、動かしていくのはこういう働きだ。野村はこの温かい言葉を忘れないだろう。ファイターズが調子を上げてきたのには理由がある。良い仕事をしてくれる職人がいるのだ。

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