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原 嵩、母との想い出とともに「マウンドで結果を出し、社会に笑顔を届ける」【マリーンズファーム通信#12】

最も身近な人を亡くして、初めて気づかされるものがある。マリーンズの新人・原 嵩は今、『感謝』の気持ちを抱きながら、プロ野球人生の第一歩を踏み出した。

2016/02/14

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千葉ロッテマリーンズ



悲しんでばかりはいられない

「小学校1年生の時からずっと思い描いていた夢があったんです。母と兄と3人で野球の帰りにいつも話をしていた。兄がキャッチャーをやっていて、自分がピッチャーなので、『いつか2人でプロの世界でバッテリーを組めたらいいね』と。僕たち兄弟の夢を母は笑って聞いてくれていた。野球が好きな人でした」

いつまでも悲しんでばかりはいられない。甲子園に出て、プロに入って母を喜ばせよう。心に誓った。そこからイッキに階段を駆け上がるように急成長を遂げる。

翌2015年夏、甲子園に出場。プロでも知られる存在となり、その秋、マリーンズから指名を受け、目標にしていたプロ入りを決めた。

尊敬する兄は、大学まで野球を続けたが昨年、晴れて警察官になり千葉県警に入った。「プロ野球選手になるというオレの夢はお前に託すよ」と背中を押し続けてくれた兄。一緒の舞台に立つという夢は果たせなかったが「社会の役に立つ仕事がしたい」と警察官になったことを誇らしく思っている。

2月1日から始まった石垣島キャンプ。原は「楽しい」と目を輝かせる。一流プレーヤーにまじっての投球練習。緊張した面持ちの中にも笑顔があり、生き生きとしている。そこにはずっと泣いていたあの日の姿はもうない。

「あの頃は母の死を受け入れることができなかった。こんなことがあっていいのかと、いつも泣いていた。いろいろと考えてフォームも崩して、自分がどうしたらいいかわからなかった。でも家族や周りの人に励まされて、支えられて今、自分はここにいる。これからも母への思いは大事にしながら結果を出そうと思っています。母は必ずどこかで見てくれている。いつもそう思っていますから」

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