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「歴史的一戦」でラジオゲスト解説。エスコンはチームとファンの夢の結実【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#195】

3月14日、エスコンフィールドがついに開業。この記念すべき試合でHBCラジオ生中継のゲスト解説者を務めた。実際に訪れた新本拠地、東京時代からのファンにとってみれば、まさに感無量である。

2023/03/19

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えのきどいちろう



天然芝、間近なブルペン……アメリカの球場のよう

 実況は川畑恒一アナだった。ファイターズが北海道へ移転した年、一緒にチーム情報のトーク番組をやって以来の仲。ご挨拶して、いったんブースを離れ、Hさんの案内でまず球場内の「関係者食堂」(名称は「カフェテリア フラット」)で昼ごはんを食べる。店内では球場係員さんがみんなでランチを楽しんでて、NHK『サラメシ』を見てる気分だ。奥の方に金村暁さんがいたのでご挨拶した。なるほど、球場スタッフと放送スタッフが一緒にごはんを食べられるところなんだ。
 
※HBCラジオは札幌ドーム時代は弁当支給だった。これからはこのカフェテリアで温かいものが食べられるわけだ。これは放送クルーにとっては福音だ。冷たくなったお弁当で胃をやられるスタッフいるもんなぁ。
 
 ごはんの後は球場内を一周した。売店は札幌ドーム時代とは見違えるような活況で、旨そうなものがいっぱいある。グラウンド近くのフロアに降りていくと天然芝の匂いがした。本当にアメリカの球場みたいだ。ブルペンも間近に見られる。ここがファイターズの新本拠地か。
 

 
 僕のような東京時代からのファンは後楽園球場、東京ドームで「巨人のウラ開催」だった悲哀を知っている。(お客さんが少ないということで)球場内の売店が全部開けてもらえないのだ。当時、応援仲間と「いつか自前の球場を持ちたいなぁ」とよく話した。水道橋の立地は魅力だけど、日陰者みたいに扱われるのはガマンならない。札幌ドームに移転して、うわぁ、自前の球場だと感激したが、実際は球場内の店舗や広告など、ファイターズが思うように展開できない借り物だった。エスコンフィールドはファイターズとファンの夢の結実なのだ。
 
 肝心の試合中継はせいいっぱい頑張ったつもりだが、本職のOB解説者には遠く及ばなかったと思う。だけど自分は一生の宝物のような体験に打ち震えていた。この日の野球上のトピックはドラ1、矢澤宏太の二刀流お披露目と、ドラ2、金村尚真のローテ入り確実のロングリリーフ登板だった。それを放送に乗せられて本当に嬉しかった。
 
 ただいちばん胸が詰まった場面はラッキーセブン、球団応援歌「ファイターズ讃歌」がエスコンフィールド内に流れたときだ。僕は東京時代、1人でもお客さんを増やしたくて、文化放送の自分の番組(月~金の朝ワイドだった)で毎朝、この曲を流して、チーム情報を語っていた。文化放送はライオンズの局だから逆風もあったけど、意地を張り通した。
 
 あぁ、よかった、あのとき頑張ったことがエスコンにつながったと思ったのだ。川畑アナが上手にフォローしてくれなかったらたぶんポロポロ泣いていた。

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