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「ショート上川畑、セカンド石井」。チームの核として求められる役割【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#191】

トライアウトと位置付けた昨年とうってかわり、今年はキャンプから実力主義の方針を打ちだした新庄監督。シーズン中もレギュラー固定の方針を示している。チームの背骨ともいえるセンターライン。正遊撃手、正二塁手は誰になるのだろうか?

2023/01/22

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産経新聞社



一芸に秀でた選手は多いからこそ……

 で、セカンドの一番手は石井一成だ。これは断然である。
 
 僕は北海道新聞の新春座談会企画で「上川畑と石井に期待」と公言し、けっこう色んな方から反響をいただいた。ひとつには僕が「中島卓也推し」であること。もうひとつは加藤豪将をどう評価するのかということ。
 
 中島に関してははっきりしている。応援するのだ。必ずポンセのノーヒットノーランのときの美技のような輝きを見せてくれると信じている。が、チームのこれからを考えたらライトが当たるべきは上川畑、石井だ。磨いていけば球界屈指の二遊間が組める。僕は(自分の推しは金輪際変えないが)チームの成長を優先したいと思う。
 
 加藤豪将はまだ満足にプレーを見てないので判断がつかない。そりゃメジャーでドラフトにかかった選手だ。あっという間に石井を抜き去り、セカンドの定位置をつかむかもしれない。が、加藤のフィジカルは「元メジャー」のイメージ(パンチ力、パワー)からは遠い。率直に言って石井のフィジカルは強烈だ。これまでそういうイメージがなかったけれど、気がつくとスイングスピードも、体幹の強さもチームのトップレベルになっている。僕の石井評価は加藤がどうこうではなく、あんな選手がモノにならなかったらおかしいという話なのだ。
 
 正遊撃手、正二塁手は守備だけで決まるわけじゃない。当然、バッティングも問われる。上川畑は去年、(定評のあった)守備以上にバッティングで頭角をあらわした。新人ながらプロのまっすぐに振り負けないところを見せた。
 
 石井は新庄監督が合ったのだと思う。ビッグボス起用がハマったNO.1は松本剛で間違いないけど、その次は石井だと思っている。去年の春先言われた「前田智徳氏の指導で開眼」は1シーズン通して見るとあんまり関係なさそうだ。形が違うし、タイミングも違う。石井がしっくり来たのは前田氏よりも新庄流の積極性の方だろう。一流に飛躍するきっかけをつかんだと思っている。
 
 で、新春座談会の「上川畑と石井に期待」は単に堅守好打をたのみますという話ではない。チームをチームたらしめる核になってもらいたいのだ。ファイターズは「足の速い五十幡」とか「勝負強い野村」「遠くへ飛ばせる清宮、万波」とか、一芸の人は揃っている。長打力はマルティネスにも期待大だ。うまく潜在力を開花させればなかなかの戦力になる。
 
 が、ジョイントが不足している。つなぎ役。接着剤。頭をつかって野球をする選手。勝てるチームになるかどうかはここにかかっている。僕の見たところ、これができる選手は松本剛、上川畑、石井だ。上位(例えば2番)を打つにせよ、下位(例えば7番、9番)を打つにせよ、場合によってはクリンアップを打つにせよ、ジョイントの役割は要る。
 
 ファンにイメージしてもらうのに手っ取り早い例は(現役時代の)金子誠の役割だ。あるいは森本稀哲、田中賢介の役割だ。ジョイント。稲葉、小笠原、セギノール、新庄といった大駒とは別の仕事。つまり、僕は上川畑、石井に最大級の期待をかけている。それに値する選手だと思う。

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