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血の入れ替えを断行!「若返り」のために即戦力を指名した中日ドラゴンズのドラフト戦略

中日ドラゴンズには、待ったなしの世代交代が求められている。今年のドラフトでは9名の即戦力選手を指名し、また10名を超える選手を戦力外に。落合博満GMは血の入れ替えを断行している。

2014/11/03

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若返りを図りつつ、チームの戦力を上げる

 育成に時間がかかれば、当然現在のレギュラー選手に頼らざるを得ない。
 つまり、高卒選手の指名が多いほど、世代交代に時間がかかってしまうことになる。

 しかし、即戦力選手のみを指名した落合博満GM、谷繁監督ら首脳陣は、チームの若返りについてもはや一刻の猶予もならないと考えているはずだ。若返りのために即戦力選手を指名したのである。

 ドラゴンズは今オフ、すでに若手選手を中心に15人の退団(戦力外、引退、育成契約を含む)が決定しているが、つい最近戦力外通告を受けた吉川大幾と川崎貴弘を除く13人と、今回ドラフトで指名した9選手と育成選手として指名した4選手はポジションがピタリと符合する。

退団(ドラフト会議の時点)
投手:三瀬幸司、小林正人、鈴木義広、矢地健人、辻孟彦、井上公志(6名)
捕手:小田幸平、田中大輔(2名)
内野手:中田亮二、森越祐人(2名)
外野手:堂上剛裕、井藤真吾、宋相勲(3名)

ドラフト指名
投手:野村亮介、浜田智博、山本雅士、金子丈、佐藤雄偉知、石垣幸大(6名)
捕手:加藤匠馬、藤吉優(2名)
内野手:石川駿、遠藤一星(2名)
外野手:友永翔太、井領雅貴、近藤弘基(3名)

 数字は偶然かもしれないが、まさに「血の入れ替え」を意図したドラフトだということがわかる。

 今回のドラフトは落合GMがじっくり1年かけてアマチュア選手の視察を行った成果である。キャンプ、オープン戦の結果次第で、新人選手はどんどんレギュラーとして起用されるだろう。落合GMの眼力に期待したい。

 ここ数年のドラゴンズのドラフト戦略は少しユニークだった。岡田、高橋周平、鈴木翔太ら将来性豊かな高校生の上位指名が多い一方で、吉見、大野雄大、福谷浩司ら、故障歴を懸念し、他球団が指名を敬遠した選手たちを獲得して戦力にしてきた。

 レギュラーや先発陣がしっかりしていて、チームが強かった時期は、即戦力にこだわる必要がなかったのだ。

 地元出身選手にこだわるのもドラゴンズのドラフト戦略である。
 愛知県出身の選手はここ数年でも、堂上、浅尾拓也、山内、大島洋平、田島慎二、福谷、濱田、祖父江大輔など枚挙に暇がない。

 これは地元出身のイチローを取り逃がした「イチローショック」が大きく影響している。「愛知三羽ガラス」の槙原寛己、工藤公康を指名せず、通算0勝の浜田一夫を指名してしまった過去も尾を引いているだろう。

 地元の名選手を取り逃がせば、ファンの怒りと嘆きは尋常でなくなる。
 
 しかし、今回のドラフトはそれらの方針をかなぐり捨てたと言っていい。地元出身者はゼロだし、ケガ人もいない。
 指名したのは大学や社会人野球でも実績のある選手ばかりだ。

 ドラフトの成否なんてものは、正直なところ、フタを開けてみないとわからないところがある。
 選手たちが活躍すれば成功で、二軍暮らしが続くなら失敗だ。

 それでも、ファンとしては彼ら新人選手たちが大暴れするニュー・ドラゴンズに期待せざるを得ない。
 新しい力とベテランの力がかみ合えば、怖いものはないはずだ。あとは指名された選手が無事にドラゴンズに入団するのを祈るだけ!

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