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パ最多勝投手の大谷翔平と涌井秀章。同じ「15勝」でも投球内容は好対照【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は今季パの最多勝に輝いた大谷と涌井についてだ。

2015/12/23

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力で封じ込める大谷、試合をつくる涌井

 今季のパリーグ最多勝は、日本ハムの大谷翔平とロッテの涌井秀章が分け合った。
 二人は全くタイプの違う投手だ。投球内容も異なっている。

 そんな二人が「最多勝」という一つのタイトルを分け合う。これも野球というスポーツの妙味ではないかと思う。
 二人の今季の投球内容を徹底比較してみよう。
 まずはSTATSの比較からだ。

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 勝利数は同じ15だが、登板数は涌井が6試合多い。二刀流の大谷翔平は、登板間隔が広かったうえに、5月初旬にローテーションを飛ばしている。
 敗戦数は涌井が4つ多い。

 QSとは6回以上投げて自責点3以下で投げた試合。投手の最低限の責任とされる。
 大谷は22登板で16QS、涌井は28登板で21QS。ともにQS%は70%を超え、安定感があった。涌井の22QSは、パでは楽天の則本に次ぐ2位だった。

 投球数は大谷が2462球、涌井が3127球。1イニングあたりの投球数は大谷が15.32球、涌井が16.57球。涌井が多い理由は被安打が多いためだ。
 打者あたりの投球数は大谷が3.96球、涌井が3.98球とほぼ同じ。この数字は、4が標準的とされる。二人とも標準的だ。

 被安打率は大谷が.180、涌井が.254と大きな差が出た。
 自責点は大谷が40、涌井が71。防御率は大谷が2.24、涌井が3.39。これはパの平均防御率3.60より少し良いだけだ。
 援護率は大谷が3.92、涌井が4.82。大谷の援護率はリーグで2番目に低いが、圧倒的な投球をする彼にはあまり関係がない。しかし1試合で3点以上奪われる涌井にとって、リーグ2位の5点近い援護は大きな助けになっている。

 1完投あたりの与四球数BB9は、大谷2.58、涌井2.72とほぼ互角。ともにリーグ平均3.22より少し良い程度。
 しかし1完投あたりの奪三振数SO9は、大谷10.98、涌井5.58と大きな差。
 大谷は160km/hの速球を武器に打者を圧倒する。そして三振を奪いまくる。
 涌井は安打を打たれ失点しながらも、粘りの投球で「試合を作る」。

 この差がデータにはっきり出ている。

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