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田中瑛斗の夢は始まったばかり。七夕の夜に掴んだプロ初勝利【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#177】

7月7日、田中瑛斗がプロ初勝利を挙げた。崖っぷちの状況で訪れた、支配下登録から一軍での先発という千載一遇のチャンス。田中は6回1失点の好投で見事、期待に応えた。

2022/07/10

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「エイトに初勝利を!」。野手陣も奮起

 プロ野球は職業野球であって、友情やチームワークだけの世界じゃない。だけど、こういうことはバカにならない。田中瑛斗の懸命さは仲間に伝わる。みんな「あいつのために」と思う。新庄ビッグボスはエイトを支配下登録し、1軍に引き上げた。7月7日の先発登板を早々と予告する。言っておくが、その時点でイースタン成績は2勝6敗だ。6敗はリーグワースト。フツーに考えればギャンブルもいいところだ。
 
 自身3年ぶり2度目の1軍登板。エイトは今度こそ夢を掴むのか?
 
 その先の物語はファイターズファンならご存知の通りだ。同期・清宮幸太郎の先制10号ソロを皮切りに野手陣が奮闘、小刻みに得点を重ね、エイトを盛り立てる。杉谷拳士のバスター適時打は、杉谷本人により「とにかく瑛斗に勝ちをつけるん打」と命名された。気が付けば脇腹のケガで今季、2軍落ちしていた近藤健介も含め、チームメイトは一緒にやってきた仲間ばかりだ。
 
 捕手が石川亮なのもジーンと来た。エイトの良さをわかっている。マトをしぼらせない配球をした。舞台はZOZOマリン、鎌ケ谷からいちばん近いパリーグの1軍球場だ。ファイターズは昔から鎌ケ谷組を抜擢するのにこの「最短ルート」を用いる。
 
 そして、見事プロ初勝利を飾ったのだ。チームみんなが本当に嬉しそうだった。
 
 HBCラジオ中継の解説者、森本稀哲氏がエイトを激賞していた。ひちょりもまた鎌ケ谷からマリンの「最短ルート」を経験している。鎌ケ谷&マリンのダブル(昼は2軍戦、夜は1軍戦)出場も良く見た。彼はエイトの勝利を偶然やまぐれとは感じなかったようだ。
 
「エースになるんじゃないかって思いましたよ。エースの風格なんですよ、勝負勘もあるし」
 
 もしかしたら七夕の快投は「勝てなかった投手が勝った」以上のものになるかもしれない。僕らは選手が大飛躍する瞬間を見たのかもしれない。みんながエイトの活躍を願っている。最後にいちばんグッときた彼の言葉を残しておこう。ZOZOマリンのお立ち台だ。
 
「この景色を見たくてプロ野球がんばってきたので、本当にこういう結果になってよかったです」
 
 何度でもその景色を見てくれ。野球の夢をかなえてくれ。
 みんなが力になるぞ、がんばれ田中瑛斗!

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