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【2022楽天・戦力分析】戦力整備と高齢化が同時進行。衰退期を迎える前に優勝できるか

2022/03/19

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DELTA・竹下弘道



2.各ポジションの「得失点差への寄与」は?

 楽天はどのように得失点差を改善すればよいだろうか。これを考えるため、各ポジションの状況を掘り下げて見ていこう。各ポジションが得失点差に対して何点分の寄与をもたらしたかという観点で、チームの強みと弱みがどこにあったのかを確認する。
 
 まずは野手からだ。野手は打撃で得点を増やすか、守備で失点を減らすことで得失点差を改善できる。打撃はwRAA、守備はUZRという指標を用いて、各ポジションが得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを計算した(図2)[1]。数値はレギュラーの個人成績ではなく、レギュラー以外も含めたチーム全体の成績という点に注意いただきたい。
 

 
 楽天の強みとなったのは二塁手・三塁手・左翼手。三塁手は茂木栄五郎が遊撃手から本格転向となったが、高い守備適性を見せたことで強みとなった。また、左翼手の島内宏明もキャリアハイを更新する活躍を見せている。二塁手の浅村栄斗は例年通りと言えるだろう。
 
 一方、弱点となったのが捕手と指名打者。捕手は若手の太田光が起用されたが伸び悩み、良い成績を残すことができなかった。指名打者はレギュラーを決められず、主に野手の休養に充てられ、大きなマイナスを計上してしまっている。

 次に投手を見てみよう。ここでは先発と救援に分けて得失点差への寄与を確認する。投手は投球で失点を減らすことでこれに関与できる[2]。FIPという指標を使い、「先発と救援がそれぞれ得失点差に何点のプラス(マイナス)をもたらしたか」を計算した(図3)。
 

 
 先発と救援はどちらもチームの強みとなっている。先発は岸孝之・則本昂大・涌井秀章に、NPB復帰の田中将大、新加入の早川隆久、成長を見せた瀧中瞭太が加わった。ほとんど年間を通して、この6人で先発ローテーションを回すことができている理想的な状況だった。
 
 救援もクローザーの松井裕樹に加えて、宋家豪・酒居知史と勝ちパターンにプラスを稼ぐ優れた投手を配置できている。選手層も厚くマイナスを出している投手もほぼいないため、救援陣全体のプラスも大きなものとなっている。

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