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【2022広島・戦力分析】投手・一塁手・三塁手の底上げが課題。林と坂倉はコンバートの積極的検討を

2022/03/18

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産経新聞社、DELTA・竹下弘道



4.今季の選手供給の見込みは?

 ここまでに論じた補強ポイントを踏まえて、広島が新しい選手をどれだけ用意できるかを見ていきたい。一軍に選手を供給する手段は、①二軍から選手を引き上げる、②ドラフトで獲得する、③国内外の他チームから獲得する、の3つだけだ。それぞれの手段について、どのような選手供給が見込まれるかを見ていこう。
 
 まずは二軍だ。二軍において得失点差への寄与が優れる選手は、一軍でも得失点差を改善する見込みが強いと言える。ここでは2021年の二軍において、各選手が得失点差に何点分の寄与をもたらしたかを調べた[4](図5)。グラフは縦軸が得失点差への寄与、横軸が年齢を表しており、優秀でなおかつ若い左上の選手は将来的な一軍定着を期待しやすい。
 

 
 外野手で特筆すべき成績を残しているのが25歳の正随優弥だ。昨季は引っ張り方向への打球を増やすことで長打力を伸ばした上、パワーヒッターが苦手としがちなコンタクトも悪くない。総合力では二軍トップレベルの打者であり、鈴木の穴埋めを考える上で真っ先に名前が挙がる選手ではないだろうか。
 
 また、24歳の宇草孔基も外野手レギュラーの候補となりそうだ。二軍では良好な成績を残せていないが、一軍では4HRをマークするなどアジャストを見せている。打率については再現性が危ぶまれるデータが出ているが[5]、今季も期待がかかる外野手と言える。

 次はドラフトを見ていこう(図6)。育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なので、支配下契約の選手のみを見ていきたい。
 

 
 ドラフトでは投手と外野手の即戦力を確保する動きが見られた。投手は1位で黒原拓未、2位で森翔平、5位で松本竜也を獲得。外野手は3位で中村健人、6位で末包昇大を獲得。投手と右翼手に対しては一定の底上げが期待できそうだ。
 
 最後に補強を確認する(図7)。こちらも育成契約の選手が1年目から戦力になるケースは稀なため、支配下契約の選手だけを見ていく。
 

 
 補強では外国人選手の入れ替えが行われた。救援のニック・ターリー、先発のドリュー・アンダーソン、一塁手のライアン・マクブルームを獲得。投手と一塁手では一定の底上げが見込めそうだ。マクブルームは外野経験もあるため、坂倉などの他選手で一塁手をある程度埋められれば、外野手で起用することも可能だろう。
 
 なお、昨季の広島は投手、一塁手、三塁手が弱点となったことは先述したが、これらの共通点は外国人で埋めやすいポジションということだ。これは外国人補強が上手くいかず、外国人選手の働きが乏しかったことの裏返しでもある。新外国人が機能するかどうかは、今季の上積みにおいて重要なポイントとなるだろう。

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