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NPB12球団のスカウトの「眼力」は? 過去5年のドラフト指名選手の成果【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は過去5年分の12球団ドラフト指名の通信簿だ。

2015/10/27

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チームの投打の柱が生まれたヤクルト

 次にセリーグを見てみよう。

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 パリーグに比べて安打数がかなり少ない。指名を受けた野手が一軍で戦力として十分に働いている選手が少ない、つまり育っていないことがわかる。

 その中では、ヤクルトは成功している。山田哲人が「トリプル3」を記録。リーグを代表するスラッガーに成長。投手陣も2012年の小川、石山、2013年の小川などが主戦級に育っている。

 巨人は澤村、菅野とドラフト1位投手が順調に成長している。勝利数は最多。野手では、阿部慎之助の後継者と目される小林誠司、高卒ドラ1で注目された岡本和真がいるが、まだ結果にはつながっていない。彼ら新世代の台頭なくして、巨人の復活はない。

 阪神はエース藤浪晋太郎こそ出たが、それ以外主力は育っていない。藤井彰人の引退を受けて、2013年4位の梅野隆太郎が正捕手の座をつかめるか、また2014年3位の江越大賀が中軸に座れるかが注目だ。

 広島も近年のドラフトは成功している。投打ともに主力級が育ってきている。野村祐輔、福井優也の他に先発、救援で活躍する大瀬良大地、野手陣では菊池涼介、田中広輔らがレギュラーの座を勝ち取った。鈴木誠也も来年は楽しみだ。

 中日はやや寂しい。先発の大野雄大、救援の又吉克樹、福谷浩司などが出た一方、ドラフトで補強している割に、高齢化している野手のポジションを脅かす選手が少ない印象だ。

 DeNAは、2014年のドラフト1位の山崎康晃が活躍。2013年4位の三上朋也も救援として活躍。先発の井納翔一も成長した。野手陣では外野守備の名手、荒波翔が出ている。内野手・捕手で独り立ちする選手が出てきてほしいのが正直なところではないか。

 一般的に、メンバーがそろった強豪チームよりも下位に低迷するチームのほうが思い切った選手起用をすると言われる。若い選手の活躍のチャンスが多いとされる。

 このデータからもその傾向はみられるが、投手が登用されるチーム、野手が登用されるチームという色分けがあることもわかる。チーム事情による。

 当初はドラフト上位の指名選手のほうが、一軍昇格の機会は多い。しかし年数を経るとともに下位指名でも競争を勝ち抜き、実力を蓄えた選手が這い上がってくる。2010年、11年あたりはそういう状況になりつつある。

 まだまだ先は長い。今うずもれている選手の中から、遅咲きのスター選手も出てくるだろう。

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