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QS率向上、リーグワーストだった援護率も改善。千葉ロッテ・涌井、最多勝獲得の要因

千葉ロッテの涌井秀章が10月6日のシーズン最終戦で10回を投げ抜き15勝に到達。自身6年ぶり3度目となる最多勝の栄冠を手にした。

2015/10/07

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最多勝獲得が完全復活への第一歩に

 14勝をあげた10年以来となる二桁勝利、09年以来6年ぶり3度目となる最多勝をあげた涌井。投球内容を見ると復活への一歩という見方ができる。

 14年に比べて防御率こそ4.21から3.39に改善されたが、今年のFIP(防御率よりも投手本来の実力を反映するとされる擬似防御率。奪三振、四球、被本塁打から算出)は3.47であり、最多勝を獲得した07年の3.27、09年の3.17よりも、8勝12敗に終わった昨年2014年の3.56に近い。

 投球のクオリティーを示すK/BBも2.05、14年の1.84からは上昇したが、07・09年の2.69にはまだ及ばない。
 西武時代の投球に近づいて初めて、本当の意味での完全復活といえるだろう。

 ところで8勝12敗→15勝9敗と成績が改善された要因に、イニング数の増加に伴うQS率の向上と援護率の上昇が挙げられる。

 今季の1先発あたりのイニング数は、6.74で昨年の6.33と比べ0.4イニング増、これにより50%だったQS率が75%に上昇した。
 昨年リーグワーストの3.29に終わった援護率も、リーグ5位の4.48へと1点以上改善されているのも大きい。

 ちなみに、6日の楽天戦は順位、クライマックスシリーズ進出が決まったロッテにとっていわば消化試合。個人タイトルのために137球を投げ込んだ涌井の続投を疑問視する声もある。
 事実、落合投手コーチは中4日で先発予定だったクライマックスシリーズ第2戦の先発を白紙に戻すことを明言している。

 しかし今季も先発の柱として1年間ローテーションを守り、最多勝に輝いた涌井が見せた気迫の投球は、これからクライマックスシリーズへ向かうチームとって活力を与えたことは間違いない。

 エース涌井がポストシーズンでもシーズン同様に柱となれるか、打線がシーズン同様に援護できるか。2010年以来5年ぶりの日本一奪還を大きく左右することになりそうだ。

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