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長距離砲・ヌニエス加入で競争激化。高濱、清宮はポジション争奪戦に勝ち残れるか【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#160】

来季、ファイターズにレナート・ヌニエスが加入する。MLBで実績十分のスラッガーだ。新庄監督も期待する助っ人は一塁での起用が見込まれており、そうなれば、高濱祐仁、清宮幸太郎を交えたポジション争いが勃発する。

2021/11/14

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金子誠スタイルでポジション死守せよ

 おそらく高濱も清宮も中田移籍はチャンス到来と捉えていただろう。高濱はわかりやすい。今季、中田の2軍落ち&移籍で出場機会をもらったのだ。一度は(ケガもあって)育成契約に落とされた選手だ。絶望の淵から這い上がって、(一応は)レギュラーの座をつかんだ。それが中田移籍で千載一遇、人生を変えるチャンスが巡ってきた。2022年シーズンこそ、レギュラーの座を固めるときだ。ヌニエスになんか負けてたまるか。
 
 まぁ、外国人選手には(アメリカでの実績と関係なく)当たりはずれがあるから、高濱がヌニエスに勝つことだってあり得る。ていうか、高濱が30本ホームランを打てば誰も文句ないのだ。まぁ、そういうタイプじゃないとすれば3割3分打って90打点モノにすればいい。ファイターズには金子誠というお手本がいて、現役時代、大リーガーやドラフト上位の名遊撃手を毎年のようにぶつけられ、そのすべてを払いのけてポジションを死守した。金子誠スタイルでヌニエスを撃破すればいい。
 
 ただ今季の高濱には忘れられないチョンボがあった。9月5日ロッテ戦、1点ビハインドの7回表2死1、2塁の場面だ。高濱はヒットで出て2塁走者だった。打者清水優心が右狙いのヒットを放つ。同点のチャンスだ。サードコーチの上田さんは腕をぐるぐる回す。が、高濱が3塁で止まったのだ。
 
 あり得ない。いかにロッテの右翼手、マーティンの肩がよかったとしてもコーチがGOならGOに決まってる。あれは(走塁を重んじる)ファイターズの野球じゃないし、そもそもコーチ指示をきかない選手がその後も平気な顔で試合に出てちゃいけない。まぁ、僕は普段、あまりこういうことは書かないが、今はシーズンオフであり反省材料だ。高濱もよくないが、あの高濱を許すからチームが弱いのだと思う。1点を奪う執念、次の塁を奪う執念に欠ける。
 
※念のため。僕は本塁突入してアウトになるかセーフになるかを論じていない。そんなのは結果だ。勝負をかけないチームには甘えが生じ、ゆるんでしまう。あの日の高濱の姿は本当にショックだった。
 

打たなければ1軍スタメンはない

 清宮幸太郎は2021年、一度も1軍登録されなかった。スター候補生として鳴り物入りで入団し、されど期待に応えることができず、初めて2軍で自分を見つめ直す時間を持った。同期のヤクルト村上にはすっかり差をつけられたが、依然、注目度は高い。ファイターズにいちばん足りないもの、ホームランを持っているからだ。高卒でプロ入りしたから、もし大学野球に進んでいれば2021年は4年生のシーズンだった。つまり、周囲の期待は来季、「大卒ルーキー清宮幸太郎」再デビューのイメージだ。
 
 僕は2軍で打撃修業する清宮に注目した。中田の巨人移籍も「大卒ルーキー清宮幸太郎」(あくまでイメージの話です)の追い風に思えた。その潜在能力が開花すればホームラン30本は楽々クリアしかねない。ヌニエスを追い返し、来季のレギュラーをつかみ取るのは清宮かもしれないのだ。
 
 ただ2軍の打席を(映像も含め)可能な限り見続けたけれど、まだ打撃開眼には至ってない。こねて引っかけてセカンドゴロの悪癖はしょっちゅう顔を出す。果たしてヌニエス&高濱を押しのけて1軍スタメンを勝ち取ることができるだろうか。
 
 まぁ、12球団どこであれ、打てない一塁手はお呼びじゃないのだ。外国人スラッガーの守備位置になりがち(守備の負担が少ない)な事情を考えれば、高濱、清宮がどのチームにいても「外国人以上の長打力」が求められるのは当然のことだ。そしてファイターズはその要求が他球団よりも切実なのだ。僕はこの「ポジション争奪戦」を楽しみとしたい。チーム浮上のカギだからね。

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