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伊藤大海の二桁勝利とともに、最下位脱出を!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#158】

今季、最下位からなかなか脱出できなかったファイターズだが、ここにきて西武を射程圏内にとらえた。5位浮上にはやはり伊藤大海の力が必要だ。

2021/10/17

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ようやく見えてきた5位の背中

 シーズン終盤戦の10月中旬になって、今季初めての札幌ドーム観戦が叶った。僕の住む東京は今年、ずーっと緊急事態宣言かまん延防止等重点措置のいずれかが出てる状態で、ほとんど切れ目がなかった。地方出身者がGWやお盆の帰省を見合わせるなか、取材のためとはいえなかなか遠出する気分になれない。特に夏場の感染爆発期は行動に慎重になっていた。というわけで本拠地・札幌ドームへ10月初観戦という、異例の事態となったのだ。
 
 10月13、14日の西武21、22回戦だった。さすがにこの時期になるとペナントレースも最終ストレッチを過ぎ直線叩き合いに入っていて、オリックスとロッテが歴史的な戦いを繰り広げている。ファイターズは上位からはるか後方にひき離されていて、それでも10月じんわり楽しみができていた。
 
 5位攻防戦。
 
 中田翔が去り、小粒ながらチームがまとまってきたところへ5位西武の大失速である。僕が北海道へ旅立った13日昼の段階でわずか1ゲーム差。言っておくが今季、ファイターズはひとり旅を続けてきた。3月末以来、最下位独走。誰の背中も見えないのだ。五里霧中というのか、どこへ向かっているかもわからない。つらかった。せめて伴走者がいてくれたらなぁと思った。そうしたら近年、3連覇を遂げたはずの実力派が落ちてきてくれたのだ。目標がやっと出来た。がんばって最下位を脱出しよう。
 
 意気込みとして新千歳空港に着いたとき6位でも、離れるときは5位になってる予定だ。そのためには連勝が必要になる。ファイターズは「杉浦劇場」に不安を残すが、先方だって平良が抑えに失敗したばかりだ。札幌ドームも10月から上限1万人の制限緩和だ。ホームの後押しがあれば「最終直線」での逆転劇が期待できるんじゃないか。
 
 ところでその週はドラフト会議が行われ、ファイターズは1位達孝太(天理高)以下、9人の有望新人の交渉権を獲得した。育成選手の指名まで含めると13人である。注目は高卒の好素材を多く指名した点と、水野達稀(JR四国)上川畑大悟(NTT東日本)と即戦力のショートを2枚押さえた点じゃないか。
 
 石井一成の左足骨折で残り試合、ショートは基本、中島卓也、谷内亮太の2枚でまわしていくことになった。石井は今年、出場機会をもらったが、レギュラー奪取かというとなかなか微妙だ。失策や「E」マークのつかない失策が多く、本当の意味の信頼は勝ち得ていない。一方、従来のレギュラー、中島は大きく出番を減らした。打撃不振に加えて、大事な場面でのミスも目についた。僕は中島ファンだからいささか心苦しいが、力量的な衰えを指摘されもする。で、球団の判断が「即戦力2枚獲得」なのだ。シビアな世界だ。そしてその厳しさがあるからこそプロ野球は夢を売れるのだ。
 
 秋の空気はそんな厳しさも感じさせる。ドラフト大量指名は大量戦力外の前触れだ。来季ユニホームが着れるかわからない選手もいる。10月のプロ野球に春のような無邪気さはない。そのしみじみしたなか、5位攻防戦を見るのだ。もちろん中島の選手紹介に盛んに拍手した。卓、来季に繋がるプレーを見せてくれ。

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