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初ヒーローインタビューのコメントが傑作。来季もロニー・ロドリゲスを見たい!【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#156】

ペナントレースも終盤に差し掛かっている。最下位に沈んでいる日本ハムは、一つでも上の順位を目指していきたい。西武との17回戦は、ロニー・ロドリゲスが本塁打を放ち勝利に貢献、初のお立ち台となった。

2021/09/19

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えのきどいちろう



チームに溶け込んでいるロニー

 いや、「先制点が転がり込んできた」は敵失のとき使うフレーズか。だけど、実感としてはそんな感じだ。2死走者なしから7番ロニー・ロドリゲスがレフトポール直撃のホームランだ。言っちゃ悪いがロニーは期待薄だった。この時点で打率1割台。バットを高く構えて強引なスイングを見せる。まぁ、下手に当てにいくよりは満振りのほうがいいのだが、見てるとバッティングの間がなくて打てそうな気がしない。といってレアードのケースがあるから、フィットしてない外国人選手もなるべく使っていきたい。レアードも1年目(の最初の何か月か)は「安全牌」呼ばわりされていた。
 
 それがズドーンッだ。松本航も「安全牌」と思って気を抜いたのだろうか。今季第3号。もうサプライズプレゼントだ。何が嬉しいって「思いがけない贈り物」ほど嬉しいものはない。今のファイターズ打線は長距離砲がいないんだけど、それでも野村佑希や王柏融、高濱祐仁ならホームランがあり得る。案外、清水優心も一発を持ってる。でも、ロニーは考えなかった。ベンチを見てもみんな笑顔だ。これぞ「5位攻防戦」を左右する貴重なホームラン。ハムが獅子に食らいつくのだ。
 
 事実、ハムは小刻みに加点し勝利を飾った。これで17戦して対西武の成績は8勝6敗3分。まぁ、何といってもこの試合は上沢直之のナイスピッチングだ。8回1失点で堂々の9勝目。特に8回裏、走者を置いた場面で源田壮亮を三振に切って取った闘魂は圧巻だった。この日の上沢は「攻めのピッチング」とでも表現したらいいか、闘争心全開で投げていた。上沢はシーズン終盤、勝ち星を伸ばすのじゃないか。この感じが出たときの上沢がいちばん好きだ。次回も期待したい。
 
 但し、ヒーローインタビューに登場したのはエース上沢ではなく、ラッキーボーイのロニー・ロドリゲスだった。初ヒロイン。ちょっとびっくりするくらい小さな声だ。MLBにはヒーローインタビューの習慣がないから面食らっていたのか。言ってることは傑作だった。もう何かこのコメント一発で、このまま花開かなくてもいいから来年も置いときたくなる。
 
「打席に入る前にアミーゴの谷内さんに2つバットがあるんですけどどちらがいいかと聞いたら、こっちというほうを指してもらったんですけど、今日は谷内さんの日じゃないような気がしたので、違うバットを持って打席に立ったらホームランを打てたので、今後もその方向でいこうと思います」
 
 ロニー、チームに溶け込んでいる! 「性格採用」じゃないかと疑いたくなるほどいいヤツだ。見れば前方の席に「32」番の谷内ユニの女性(9回、守備固めで出てきた谷内をずっとカメラで追っておられた)がいて、ロニーのコメントに大爆笑している。谷内ユニには黒マジックで彼のサインと「全身全霊」という文字が入ってる。きっとアミーゴ谷内は「全身全霊」で打てないほうのバットを指さしたのだろう。
 
 というわけで世間の注目をさっぱり集めない「5位攻防戦」はとても楽しかったのだ。プロ野球も残り少なくなってきた。ここから西武とデッドヒートだ。がんばるぞー。
 
 
追記 9月18日、ハム勝利&西武負けの結果、白熱の5位攻防戦はついに1ゲーム差となった。目が離せません。

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