【プロ野球評論家・与田剛の眼】勝ち上がった阪神、日本ハムは初戦をとれるかが最大のポイント
クライマックス・シリーズ（CS）ファーストステージが終わり、セ・リーグは阪神が1勝1分で広島を破り、パ・リーグは日本ハムがオリックスを2勝1敗で下して、ファイナルステージ進出を果たした。1点を争う好勝負が続いたが、勝敗を分けたものは何だったのか。そして、セ・パともに今日からクライマックス・シリーズ（CS）ファイナルステージが開幕する。1勝のアドバンテージがある以上、その時点でリーグ優勝チームが優位であるには変わらない。プロ野球評論家の与田剛氏にファーストステージの総括と、勝ち上がったチームがどう王者へ挑むべきか――ファイナルステージの行方を占ってもらった。
2014/10/15
日本ハムの若い力が勢いづけられるか？ 陽の打順変更も考えるべきでは
そして日本ハムの最大の武器は若さです。いい意味で怖いもの知らずなところがある。相手が誰だろうが、関係ない。
西川遥輝、中島卓也、近藤健介、大谷翔平と、まだ20代前半の選手が大舞台でも生き生きとプレーしています。ソフトバンクとしてみれば、彼らを自由にプレーさせたくない。まだ脆さはありますが、ものすごい勢いで成長しているのも確かです。彼らのプレーがファイナルステージのカギを握るでしょう。
日本ハムにとって、唯一の不安材料が３番を打つ陽岱鋼の不振です。
結果が悪いだけならまだいいのですが、内容がよくない。
チャンスを作っても、陽のところで途切れてしまうことが多かった。短期決戦では調子のいい選手、悪い選手の見極めが大事になってきます。陽の場合、あの守備力というのはチームにとっても大きな武器ですので、スタメンを外すことはできない。
ただ、このまま３番を打たせるのは考えたほうがいいかもしれません。少し打順を下げてやって、楽な気持ちにさせてやるのもひとつの手だと思います。この短い間にどれだけ復調できるかはわかりませんが、何かしらの策は必要かなと思います。
ファイナルステージはソフトバンクに１勝のアドバンテージがある分、有利だとは思いますが、勢いでいったら日本ハム。
また、ソフトバンクにとっては秋山幸二監督の辞任がどれだけ影響するか。
「勝ちたい」という気持ちはいつも以上に強くなると思うのですが、それが気負いにならなければいいですね。セパともにファーストステージ同様、手に汗握る好ゲームを期待しています。
与田剛（よだ・つよし）プロ野球解説・評論家
NTT東京を経て、89年にドラフト1位で中日ドラゴンズへ入団。1年目からリリーフで活躍し、新人王と最優秀救援投手に輝く。その後は故障に泣かされ、00年に現役引退。引退後は、NHKのサンデースポーツのキャスターや社会人野球、女子チームのコーチなどを経験。2009年、2013年のWBCでは日本代表の投手コーチを務めた。