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「日本時代よりパワーアップしている」。4勝4敗でも、先発投手として評価される数字を残した和田毅

2年前、ソフトバンクからオリオールズに移籍し、メジャーリーグでの活躍を期待されていた和田毅。開幕前に肘の故障を発生し、トミー・ジョン手術を行うことになり、長期離脱となった。今年、地道なリハビリを経て、シカゴ・カブスでようやくメジャーデビューを果たした和田は、3AとMLBあわせると、年間31試合に登板し、183イニングを投げ切り、先発としての存在感を残した。その和田が、11月の日米野球にMLB代表として凱旋登板する。

2014/10/13

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手術明け、3Aとメジャーリーグで先発投手としての価値を示す

 今季、米球界で最も評価を上げた日本選手は、カブスの和田毅投手だろう。

 渡米直後の12年春キャンプで左肘を痛めてトミー・ジョン手術を受けた。過去2年間はリハビリとマイナー暮らし。それが、7月にメジャー初昇格を果たし、同28日のロッキーズ戦で7回1失点でメジャー初勝利。

 その後も先発ローテーションを守り通し、13試合で4勝4敗、防御率3.25の成績で、2年遅れの「ルーキーイヤー」を終えた。

「肩、肘に大きなケガがなく、(ローテーションを)飛ばすことなく投げられたのが自信になった。(来季は)今年よりいい状態にもっていく自信がある」

 1シーズンを投げきること。これこそメジャーの先発投手に求められる最大の働きであり、評価基準だ。
 和田はキャンプは招待選手としての参加で、開幕は傘下3Aアイオワ・カブスで迎えた。

 開幕からローテーションを守り抜き、特に4月は3勝1敗、防御率0.68で月間MVPを受賞。
 そこから9月まで、休むことなく先発投手としての責務をまっとうした。

 1シーズン、ローテーションを守り抜いた投手は年間32試合以上に先発する。単純に162試合を、先発投手枠の5で割った数字だ。
 和田は3Aで18試合、メジャーで13試合、年間31試合に先発した。

 30球団×5人で、単純計算ではメジャーには150人もの先発投手が開幕時の構想で必要とされるわけだが、今季31試合以上に先発した投手は半数以下の62人にとどまる。
 一流の証明となる200イニング投球は34人。和田はメジャーで69回1/3、3Aで113回2/3を投げ、合計183イニングをしっかり投げ抜いた。

 3Aといえど、肉体的な負荷や疲労は変わらない。むしろ移動などの負担が増す分、環境は厳しい。中4~5日で登板し続けるタフな米球界で、先発投手として戦えることを、何よりも正直な「数字」という結果で実証したわけだ。

 12年5月11日に左肘の靱帯を再建するトミー・ジョン手術を受けた和田にとって、この数字は実に大きい。
 直球も常時90マイル(約145キロ)以上を計時している。

 同手術は、移植した靱帯がなじむまで時間が必要で、術後2~3年後に完全復活を迎えるケースが目立つ。

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