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「2番最強説」は本当か。MLBを代表するスラッガーの打順とは 二塁打、本塁打、打点のトップ5で検証

 メジャーリーグで「大砲」「スラッガー」「ポイントゲッター」と呼ばれる選手は一体何番の打順で最も優れた成績を残しているのだろうか。昨季メジャーで二塁打、本塁打、打点の部門でそれぞれトップ5入りを果たした選手の起用打順を調べてみた。

2020/03/22

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打点

※カッコ内は2019年の所属チーム
 
1位 126打点 アンソニー・レンドーン(ナショナルズ)
2位 123打点 ホセ・アブレイユ(ホワイトソックス)
3位 121打点 フレディ・フリーマン(ブレーブス)
4位 120打点 ピーター・アロンゾ(メッツ)
5位 118打点 ノーラン・アレナド(ロッキーズ)
5位 118打点 エドゥアルド・エスコバー(ダイヤモンドバックス)
 
 メジャー最多となる126打点を記録したレンドーンは、前述の通り「3番」で164安打、40二塁打、33本塁打、124打点、打率.318と活躍。2017年に続いてキャリア2度目の100打点以上、そして最多の打点を更新した。メジャー7年のキャリアを通じて最も起用されたのは2番の265試合だったが、通算打点で最も多かったのは231試合に出場した3番で182打点。2番で記録した106打点より70点以上多い。
 
 シカゴ・ホワイトソックスのホセ・アブレイユ内野手は、メジャーデビューの2014年から6年間で5度目の100打点以上となるキャリアハイの123打点を記録。昨季に務めた打順は「3番」のみで、159試合の出場で180安打、38二塁打、33本塁打、123打点、打率.284をマークした。2018年も先発出場した127試合全てで3番に座り78打点を記録するなど、「ホワイトソックスの3番」はアブレイユの絶対的な指定席となっている。もちろん、キャリアを通じて最も多く名を連ねたのも3番で(通算901試合のうち726試合)、通算141本塁打、499打点としている。
 
 メジャー3位の121打点を積み重ねたアトランタ・ブレーブスのフレディ・フリーマン内野手は、アブレイユと同様に先発出場で務めた打順は1つのみ。157試合に「3番」で出場し、176安打、34二塁打、38本塁打、121打点、打率.295をマークした。メジャー10年にわたってブレーブス一筋の大砲だが、キャリアを通じても「3番」として最も多い970試合に出場し、171本塁打、591打点と活躍。4番、5番でも計45本塁打、179打点の実績があるが、昨季に関してはジョシュ・ドナルドソン内野手やロナルド・アクーニャ外野手といった打者が4番を務めるなど強打者が後に控えていたこともあって、フリーマンはクリーンナップの先陣3番としていち早くチームに得点を呼び込んだ。
 
 4位の120打点をマークしたのは本塁打トップだったアロンゾ。そして5位にはコロラド・ロッキーズのノーラン・アレナド内野手とアリゾナ・ダイヤモンドバックスのエドゥアルド・エスコバー内野手が188打点で並んだ。アレナドは「3番」で最も多い98試合に出場し、118安打、20二塁打、26本塁打、68打点、打率.306としたが、「4番」としても53試合で67安打、11二塁打、15本塁打、50打点、打率.338と、2つの打順で計118打点を稼いだ。キャリアでも3番が最も多く503試合で388打点としているが、4番でも272試合で220打点と結果を残している。
 
 一方、エスコバーはメジャー9年目でそれまで最多だった84打点(2018年)を大きく更新し、ダイヤモンドバックス移籍2年目を飛躍の年とした。最も多かったのは93試合で座った「3番」で、105安打、15二塁打、24本塁打、80打点、打率.260の数字を残した。ミネソタ・ツインズ時代を含めて2018年は2番から9番にかけて幅広くこなしたが、先きは見事に3番定着を果たしたと言っていい。しかし、3番の他にも27試合に出場した1番で29安打、7二塁打、4本塁打、16打点、打率.252の数字を残すなど、リードオフマンとしてパンチ力のあるところを見せた。
 
「メジャーの強打者といえば…」という話では近年トラウトの台頭などで「2番」に置くイメージが強くなってきたが、実際、二塁打と本塁打を最も多く記録したカステヤノスとアロンゾがシーズンで最も多く務めていたのが「2番」だったことで、今後も話題の中心になっていく打順であり続けるだろう。
 
 しかしながら、二塁打4位タイのレンドーンや本塁打2位のスアレス、打点2位のアブレイユ、同3位のフリーマンが「3番」を務め、本塁打3位のソレールや同4位のベリンジャーが「4番」を多く務め結果を残していることからも、依然として3番や4番を大砲のポジションとして据えるチームも少なくないことが分かった。出塁能力、長打力、走力、チームによって様々な特徴が表れるが、その中でも「大砲の打順」というチームの得点力を左右するその位置に注目して試合を見るのも面白いかもしれない。

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