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NPB1軍未登板の男がMLBデビュー インディアンス・村田透が球界に与えたインパクト

インディアンス・村田透がメジャーデビューを果たした。ジャイアンツ時代は1軍未登板だった男が、アメリカのトライアウトから遂に夢の舞台へ辿りついた。

2015/07/01

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阿佐智



村田にとっては次回結果が問われる時

 日本プロ野球出身大リーガーで、1軍未経験選手は初めて。

 国内で芽が出なかった若者が、それでも野球を諦めきれず、異国の野球総本山でアメリカンドリームを成し遂げた。

 先発抜てきを決めたフランコナ監督は、その時点から「彼がマウンドで投げる姿から感銘を受ける者は多いだろう」と話していた。
 日本人に関わらず、米国人や中南米出身の選手でも、マイナーでチャンスを待ち続けている選手は山ほどいる。それら多くの金の卵たちにとって、この日の背番号61の勇姿ほど勇気を与えるものはない。

 ドジャース傘下1Aには社会人クラブのエディオン愛工大OB BLITZ出身の沼田拓巳が、レンジャーズ傘下1Aには元DeNAの冨田康祐が在籍。米独立リーグ・アトランティックリーグのランカスターには、メジャー挑戦を夢見る元ロッテの渡辺俊介や、元オリックスの梶本勇介と柿原翔樹、深江真登が所属し、その時へ向け牙を研いでいる。

 この試合で、村田は最速は90マイル(約145km)ながら、丁寧にコーナーを突くコントロールは終始安定していた。
 特に目を引いたのが、左打者の内角の際どいところへ、ズバズバ投げ込んだカットボール。87~89マイル(約140~143km)を計時し、相手左打者の腰を引かせ、打ってもファウルになるという絶妙なコース。渡米後に身に付けた球種で、制球力に自信がないとできない芸当だった。

 加えて日本から持ち込んだ落差の大きいフォークボールや、100km台のスローカーブも織り交ぜる。緩急自在の投球は、経験を踏んだ次戦以降はより生きるはずだ。

 ダブルヘッダー時の特別規定での昇格だったため、試合後には3A降格が決まった。ただ、メジャー昇格の前提となる40人枠に今回登録されたことによって、今後も先発陣の不調や故障時など、声が掛かりやすい状況となった。

 村田自身、一夜限りの夢で終わらせるつもりはないだろう。
 石の上にも3年にとどまらず、5年かけて足がかりをつかんだ。次のチャンスは感慨に浸るだけでなく、結果も問われることになる。

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