大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



60年前の給与明細書で明らかにされたマイナー選手の待遇悪化。一方メジャーリーガーの「最低」収入は10倍以上に

2020/02/10

text By

photo

Getty Images



拡大する貧富の差

 その一方で、メジャーリーガーたちが手にする金額は増え続けている。1960年代にはメジャーリーグ最低保証年俸は6000米ドルだった。現在の価値だと5万1822米ドル(約568万円)であり、上述の当時における平均的世帯年収(5600米ドル)とさほど大きな差はなかった。それが2020年にはメジャーリーグ最低保証年俸は56万3500米ドル(約6180万円)にまでなっている。インフレ率を加味しても、メジャーリーガーたちの「最低」収入は実質的には60年前の10倍以上に増えているのだ。
 
 貧富の格差が拡大しているのは世界中のあらゆる社会で起こっていることで、何も野球選手だけに限った話ではないが、マイナーリーガーたちの収入が貧困レベルに陥っている一方で、メジャーリーガーたちがかくも巨額のカネを手にしている現在の構図は、やはり正常な状態であるとは言い難い。
 
 MLBが提案しているマイナーリーグ削減案はその目的としてマイナーリーガーたちの待遇改善をまず最初に掲げている。MLB側の本当の狙いがどこにあるかは別にして、マイナーリーグ側がその案に反発して、交渉が暗礁に乗り上げているのは皮肉なことだ。
 
 
角谷剛

1 2 3