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アスレチックスの元ドラ1、快挙連発のNFLで“新人王候補”に。MLB全体が被る損失に懸念も

2020/01/05

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Getty Images

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「全米最優秀選手賞」受賞で人生一変…NFL史上2人目の偉業も

 米プロアメリカンフットボールリーグのNFLは1月3日(日本時間4日)に公式ホームページ『NFL.com』で2019年シーズンの「ペプシ新人王」最終候補5人の名前を公表した。その中にはアリゾナ・カージナルスのクォーターバック(QB)であるカイラー・マーレイの名前もあった。
 
 マーレイはオクラホマ大で野球とアメフトの両方で活躍し、2018年6月の「MLBドラフト」でオークランド・アスレチックスから1位指名(全体7位)を受けたマルチ・アスリートだ。当時大学2年生だったマーレイはあと1シーズンのみ大学アメフトを続行し、2019年のMLB春季キャンプから野球に専念することをオクラホマ大、アスレチックスの双方と同意していた。
 
 その時点では、野球ファンのみならず、アメフト関係者やメディアの中でもマーレイのアメフト選手としての能力を疑うものが多かった。身長約178センチのマーレイはNFLのQBになるにはあまりにも小柄すぎると思われたからだ。オクラホマ大の1年先輩にやはりハイズマン・トロフィーを受賞したベイカー・メイフィールド(現クリーブランド・ブラウンズ)がいたため、マーレイはまだ控え選手でしかなかったことも大きい。
 
 一方で野球選手としてのマーレイは俊足巧打の外野手で、2018年の大学野球シーズンでは51試合に出場し、打率.296、ホームラン10本、盗塁10個を記録し、メジャー有望株選手として評価されるだけの結果を残していた。そのため、多くのメディアは「マーレイは大学アメフトを終了した後、最終的に野球を選ぶべきだ」としていた。
 
 ところが、マーレイが大方の予想に反し、2019年の大学アメフト・シーズンにおいて全米最優秀選手(ハイズマン・トロフィー)を獲得する大活躍をすると、周囲の状況は一変した。この稀有な才能を持った若者の存在はMLBとNFLの争奪戦にまで発展することになったのだ。
 
 結局、マーレイは自らアメフトを選択した。アスレチックスから得た契約金466万ドル(約5億円)は返還して臨んだNFLドラフトでは全体1位指名を受けて、アリゾナ・カージナルスに入団した。マーレイは史上初めてMLBとNFLの両方から同年にドラフト1位指名を受けた選手となった。
 
 そしてNFLでのルーキー・イヤーとなった2019年シーズンでマーレイは歴史的とも言える活躍を見せた。レギュラーシーズンを5勝10敗1分の成績でNFC西地区最下位に沈んだチームにありながら、マーレイはNFL史上2人目の3500以上のパス獲得ヤードと500以上のラン獲得ヤードを達成した新人QBになった。タッチダウン・パス20個はカージナルズの新人最多記録でもある。
 
 NFLの新人王は米メディア『AP通信』が選出するものが公式とされるが、今回マーレイが最終候補に挙げられたのは米食品・ドリンク会社『ペプシ社』によって選出される賞だ。他にも『スポーツ・イラストレッド』などの各スポーツ・メディアが独自に選出するものがある。「ペプシ新人王」はこれから1月20日(同21日)までファンによりオンライン投票が行われ、受賞者は2月2日(同3日)にマイアミで行われるスーパーボウル期間中に表彰される。

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