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【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】田中将大の評価はやはりオールスター級。指標から振り返るMLB日本人選手の活躍度

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第5回目はMLB日本人選手の「勤務評定」だ。

2014/10/03

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スター級の数字を算出した田中将大

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 日本人投手の中でWARが一番高いのは、長期離脱があった田中将大。休んでいても投球の質の高さは評価される。制球力の良さ、安定感などが素晴らしい。
 3.3はオールスター出場クラス。
 黒田博樹は登板数、勝ち星は2013年と同じたが、WARはかなり落ちた。投球回が減ったうえに、試合への貢献度を示す指標が下落している。

 岩隈久志は自己最多の勝ち星をあげた。しかし数字は昨年に及ばなかった。今年は9月に23.2回で20失点と大乱調だったことが影響した。ちなみに昨年のWARは7.0で全投手中3位、サイ・ヤング賞も期待できるほどの数値を出していた。

 ダルビッシュ有は、8月でシーズンを終えた。このまま順調に投げていれば昨年並みの成績は期待できただろう。今季は規定投球回数にも達することができず不本意なシーズンに終わった。

 松坂大輔は昨年、トミー・ジョン手術から復帰、カーブを主体とした技巧派に生まれ変わってシーズン最終盤に好投を見せた。
 今年はマイナー契約からMLBに昇格。救援投手から先発ローテの座を勝ち取ったが、十分に活躍できず。最後はまた中継ぎに。WARは多少上がっている。

 上原浩治は、2013年救援投手ではWAR1位だった。今年もオールスターまでは非常に優秀だったが、昨年の疲労や以後被本塁打が増えて成績が下落した(レッドソックスは来季も契約したい意向を表明している)。

 田澤純一は投球回数が減少し、四球も増えたことなどで評価はやや下がった。しかし防御率はアップしており、チームは次期クローザーとして期待を掛けている。

 和田毅はトミー・ジョン手術を経て渡米3年目でようやくMLB昇格。先発投手として通用することを証明した。今年は5回、90球くらいで降板することが多かった。来季はQS(6回以上投げて3自責点以下)を求められるだろう。
 藤川球児もトミー・ジョン手術明け。しかし被本塁打が多く、評価が高まらなかった。来季はマイナー契約から再起を図ることになりそうだ。

 こうしてみると、昨年もMLBでプレーした投手は軒並み数字を下げている。MLBでは有力投手は、データで研究し尽くされる。投手が進化しなければ数字は落ちていく。やはり厳しい世界だ。来季も、一人でも多くMLBで活躍する日本人選手を見たい。

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