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74歳でも週7で野球指導中。元巨人レジー・スミス氏が語る“日本人”「特に江川と堀内は良いピッチャーだった」【インタビュー】

2019/08/26

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角谷剛



「週7回来ることもしょっちゅうある」


― あなたは選手としても指導者としてもMLBで素晴らしいキャリアを築いています。それなのに少年野球を指導しようと思ったのはなぜなのですか?
「野球が好きだからだよ。それだけだ。引退してからも、子供に野球を教えてくれないかと頼まれることが多くて、それに応えていくうちにこうなった」
 
― 週に何回くらい、このアカデミーに来るのですか?
「ロサンゼルスにいる限りは毎日だ。週7回来ることもしょっちゅうあるよ」
 
― あなたは74歳です。いつまで続けるつもりですか?
「体が動く限りは続けるよ。自分からやめるつもりはない。私はこうして野球を教えるのが大好きだからね」
 
― 最近はフライボールを狙って打つことが主流ですが、バッティングの指導法はあなたが現役時代に親しんだやり方と変わってきていますか?
「イエスでありノーでもある。最近のバッターがボールを打ち上げようとするのは知っている。それは理にもかなっている。だけど基本はバットをこすらず、力をダイレクトにボールに伝えて、強い打球を打つことだ。そのことは変わらない」
 
 ここでスミス氏は立ち上がり、身振り手振りでバッティング・フォームの解説を始めた。筆者が野球の素人であっても意に介そうとはしない。レベルスイングでボールを捉える感覚を習得するために使用する特製の練習用バットも手に取って見せてくれた。通常のバットを半分以下の太さに削り、表面を平坦にしてある。これでボールを刀で切るようにするのだと言う。
 
 インタビューの途中でも、スミス氏はしばしば立ち上がり、練習生に鋭いアドバイスを送る。時には自らバットを構えて、手本を見せる。そうかと思えば、合間に練習生に交じってボール拾いを手伝うことさえある。その姿からは、野球が大好きだと何度も口にする本人の気持ちがひしひしと伝わってくる。
 
 筆者はスミス氏が野球教室には有名になった名前だけを使って、実際の指導は他人任せにしているのではと勝手に想像していた。その先入観は大いに間違っていた。

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