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エンゼルス・大谷翔平、“奪われたフルスイング”。相手バッテリーより厄介な「見えない戦い」

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手がもがき苦しんでいる。多くの指標はMLB全体上位を占めるのに対し、本塁打はシーズン後半に入って1本のみ。背景に見え隠れするのは、自身が信じるものと他人が見る世界との「違い」。コメントからもその苦悩する心情が見受けられた。

2019/08/13

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「何回来ても振らないと思う」

 
 また、自信を持って見送ったボールをストライクとコールされ三振を取られた翌現地6月30日の試合後には「(あのコースに)何回来ても振らないと思う。そこを引きずると難しい。審判がストライクと言えばストライクだが、長い目で見て、自分の眼を信じたらいいのではと思う」と述べている。好調だった6月の終わりにこうしたコメントを連日残していた。日頃判定に異を唱えない大谷の発言だけに印象的であった。
 
 1カ月半が経過した現在も、その当時の判定を引きずっているかは何とも言い難い。ただ、今週のボストン・レッドソックスとの4連戦の最後2戦で10打数5安打4打点と結果を残しつつも、このシリーズでも判定に不服そうな表情を浮かべるシーンがあった。自分のストライクゾーンと主審のストライクゾーンとのギャップ。相手バッテリーとの戦いはもちろんだが、球審の判定との見えない戦いも、大谷からフルスイングを奪っているのでないかと、6月末の大谷のコメントを思い起した。
 
 自分の“眼”を信じるがゆえに生まれる判定とのギャップ。それは、微妙なコースで勝負してくる相手との駆け引きに、さらなるプレッシャーを加えるものだ。「来た球を打つ」「ストライクをしっかり振る」「アプローチは常に同じ」。大谷がバッティングに関して残すコメントは常にシンプルだ。その大谷から打席内でのシンプルな思考を奪うものは何なのか。それが判定というものならば、相手バッテリー以上に厄介だ。

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