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エンゼルス・大谷翔平、波に乗り切れなかった7月。厳しいマークも「ストライクに来た球は普通に打てる球」

ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が、好調だった6月と比べ、7月は数字を落とした。チームの不調と重なるように状態は上向かないが、打てないときも、四球や盗塁など勝つための努力を惜しまない。大谷攻略へ他チームがマークを強める中、大谷は平常心を崩さない。

2019/08/05

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「どこに来てもヒットできるようにするのが練習」

 このように大谷は、常に相手よりも自分自身に主体を置いているが、対する相手は大谷を打ち取ることに試行錯誤を重ねている。公式サイト『MLB.com』が提供するデータによれば、昨季大谷に投じられた球種別の割合は速球系(フォーシーム、ツーシーム、カッターなど)が58.2%、ブレーキング系(スライダー、カーブなど)が25.4%、オフスピード系(スプリット、チェンジアップなど)が16.4%となっている。
 
 それが、今年は速球系が52.8%に減り、ブレーキング系が30.6%、オフスピード系が16.6%に上昇している。右投手と左投手では若干数値が異なってくるが、いずれも速球系が減り、ブレーキング系、オフスピード系が上昇している点では一致している。特に左投手のブレーキング系は41.9%にまで上昇しているのが目に付く。
 
 一方、右投手のケースでは、速球系の割合こそ減っているが、その平均球速は93.4マイル(約150.3キロ)と昨季の92.5マイル(約148.9キロ)と約1マイル上昇している。半面、ブレーキング系は昨季の83マイル(約133.6キロ)に対し、今季は81.8マイル(約131.6キロ)になっている。つまり、相手バッテリーは大谷に対し、変化球の割合を増やしながら、速球はより速く、変化球はより遅くという攻め方をしている傾向があることを見て取れる。
 
 2番を打つマイク・トラウト外野手はじめ、エンゼルスの1、2番打者は出塁率が高く、今季は3番が指定席となっている大谷は走者を置いての打席が非常に多い。下位を打つこともあった昨年に比べると、相手バッテリーのマークも当然きつくなる。そうした状況の変化を大谷自身も感じているには違いない。
  
 しかし、必死に大谷を打ち取ろうと試行錯誤する相手をまるで翻弄するかのように「ストライクに来た球は普通に打てる球だと思っています。確実にそれを打てればいいですが、難しいコースならファウルになる確率も上がる。でもそれはそれでいいと思う。どこに来てもヒットできるようにするのが練習。ただ、なかなかそれができないから、甘い球をしっかり打ちましょうということ」と大谷は語っている。
 
 相手がどんなに大谷対策をしてこようが、大谷はブレることがない。どこか禅問答にも思える大谷のコメントから察するに、どこか見ている我々の方が、力が入り過ぎているのかもしれないと思わされてしまうのだ。
 
 
高橋康光

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