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トミー・ジョン手術から復活したMLB屈指「2人の遊撃手」 悲願の世界一へ、我慢と地道な努力惜しまず

2019/07/03

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2016年の新人王シーガーは昨年5月に手術、開幕戦で本塁打

 一方、ドジャースのシーガーは昨年5月にトミー・ジョン手術を受けた。またその後股関節の手術も受け、リハビリには多くの時間を要した。
 
 メジャー5年目25歳のシーガーは2016年に157試合に出場し打率.337、当時チームの遊撃手史上最多となる26本塁打、72打点を記録しナショナル・リーグの最優秀新人賞(新人王)を獲得。2017年も22本塁打を放ち2年連続シルバースラッガー賞を獲得する活躍を見せた。
 
 しかし翌2018年は故障に苦しんだ。4月に右肘の炎症で故障者リスト入りすると、すぐにトミー・ジョン手術に踏み切り残りシーズンを全休。さらに8月には股関節の手術を受け、シーズン終了後のオフもリハビリに取り組むこととなった。
 
 すべてはチームの力になるため。勝利のため。キャッチボールの距離は次第に伸びていき、肘の固定具を装着したままながら打撃練習も順調にこなしていった。その努力は着実に実を結び、スプリングトレーニング(春季キャンプ)からチームに合流。オープン戦にも出場し、いよいよ開幕を迎えた。
 
 シーガーは本拠地で迎えた3月28日(同29日)の開幕戦でいきなり第1号ソロ本塁打を放つと、そこから3試合連続安打。4月の1カ月間で複数安打(2安打以上)を8度記録マークするなど打率は.240だったが、その勢いはさらに加速した。
 
 5本塁打を放った5月は打率.264。6月は2日(同3日)から11日(同12日)まで9試合連続安打、13日に左ハムストリングをの張りで10日間の負傷者リストに入ったものの、40打数17安打で打率.425という好成績を収めて見せたのだ。
 
 ドジャースは7月1日(同2日)現在、57勝29敗で勝率.663はメジャー全30球団トップ。所属するナ・リーグ西地区では2位のコロラド・ロッキーズに12.0ゲーム差をつけてこちらも独走状態だ。このままいけば地区7連覇はほぼ間違いない。2年連続でワールドシリーズに進出しながら世界一を逃しているだけに、3度目の正直を果たしたいところだ。
 
 シーガーが今季ここまで出場した66試合中61試合で先発し、いずれも遊撃手として守備をこなした。手術によるネガティブな影響を感じさせず、守備面でも大きな力となってチームに貢献している。
 
 ロサンゼルス・エンゼルスの二刀流・大谷翔平選手も昨年10月にトミー・ジョン手術を経て、今季は打者専念と言う形で活躍中だが、投手だけでなく野手のトミー・ジョン手術経験者も球界では少なくない。
 
 グレゴリアスとシーガー。両リーグの名遊撃手がトミー・ジョン手術を経験し、ともに復活を果たした。グラウンド内で「核」となる遊撃手が大きな階段を上り、チームに与える効果は絶大だろう。もしかしたら、ヤンキースとドジャースがワールドシリーズに進出し、両遊撃手が世界一を争う日も来るかもしれない。両者いずれかのチームが世界一となった場合、それはどちらにしても悲願の瞬間だ。
 
 故障を抱える若手など多くの選手たちの手本となりながら、ともにチームの優勝を目指して努力を惜しまない姿に、これからも注目だ。

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