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ロンドンの悪夢…田中将大、大乱調をひも解く 結果球は低めなのになぜ?悲劇を生んだのは何か

2019/06/30

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相手先発も初回6失点KOの怪、両軍計37安打30得点。あすへの影響に注目

 田中はこの日8人の打者と対戦したが、1アウト目となる遊飛に打ち取ったアンドリュー・ベニンテンディ内野手に対して真ん中に入った以外、四球を除く全ての結果球が低めに集まっていた。犠飛も、適時打も、本塁打も、全て低めを捉えられてのものだった。
 
 では、カウントはどうか。初球を捉えられたデバースの二塁打を除く4人に対して初球ストライクを取り、3球を投げた時点で2ストライクと追い込んだのは6度。しかし、そこから3安打1四球1犠飛とアウトに結び付けられなかったのは痛かった。中でも、J.D.マルティネス外野手に対する四球はフルカウント、チェイビスに対する本塁打は2-2とボールを見極められてからの結果だった。
 
 米公式サイト『MLB.com』によれば、田中は試合後「言い訳はできない。自分の仕事ができなかった」とコメント。しかし、間違いなく“何か”がおかしかった田中の投球。普段サッカーのイングランド・プレミアリーグ、ウエストハム・ユナイテッドの本拠地ロンドンスタジアム内に特設された球場には、米国から運んだ土が使用されている。しかし、中堅まで約117メートルという狭さ、マウンドの感触やマウンドから見える景色など様々なネガティブな要因が重なって球のキレに影響し、今回の投球内容になってしまった可能性は大いにある。
 
 振り返ってみれば、レッドソックス先発のリック・ポーセロ投手も1回持たず1/3回、33球(ストライク20球)を投げて被安打5、与四球1、奪三振0、失点6という散々な内容で降板。試合全体を通じても両チーム合わせて37安打、12四球、30得点と、田中を含めた多くの投手陣が苦戦し、中盤まで荒れに荒れた試合だった。
 
 野球が身近な存在ではない英国の観衆に、野球の魅力を発信するためには打撃戦は見応えがあったかもしれない。しかし、田中だけでなく、多くの投手を惑わせた英国のマウンド、球場は翌日にも控える第2戦にどんな影響を及ぼすことになるのか注目だ。

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