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菊池雄星がメジャーで成功するには? 球種改良に手ごたえ、課題は“意図せず”動くボール

シアトル・マリナーズの菊池雄星投手が、21日に行われる「2019 MGM MLB Opening Series」のオークランド・アスレチックス戦(東京ドーム)に先発登板する。既に適応力の高さを知らしめている左腕だが、成功するポイントは、メジャー球対策にある。

2019/03/19

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変化球の改良で増えた引き出し

 菊池はオープン戦初登板のレッズ戦の後、こう話している。
 
「細かく、内・外というより強いボールを高めに投げるようにとキャッチャーやピッチングコーチから常に言われています。それが真ん中に入ってしまうと打たれるというのもありましたけど、思い切り腕を振って高めに強い球を投げられれば、詰まらせることができた。実戦でしか感じ取れない収穫でした」。
 
 そして、この球種は菊池の変化球を最大限に生かしてくれる。
  
 特に、首脳陣から高評価を受けている縦のカーブは、高めを見せられた後では虚を突いている。そして、スライダーを高速にすることで、ストレートに似せて打者を打ち取っていくようになっている。
 
 日本時代の菊池だと、ストレートもスライダーも低めを丹念に突いていくというピッチングに終始していたが、今はそんな傾向はなくなっているのだ。
 
「日本では、インハイのストレートという概念は、ボール球で誘うというのはありましたが、ストライクゾーンにキャッチャーが構えるという考え方がなかった。いかにストレートを低めに集め、スライダーを追っかけさせるという方に意識が向いていました」と菊池はいう。
 
 どれだけ球種を見せたいと思っても、低めに投げてばかりだと、打者はフライボールを打とうとしているから、低めに手を出してこないのだ。
 
「日本の時でもスライダーで三振をとっているのはゾーンの外でボール球を振らせているケースより、真ん中低めくらいだったんです。打者の手元で曲げて、真っすぐに似せる意識が大事かなと思います」。
 
 打ち取り方も増えてきている、
 
 日本では三振率の高い投手で、特にスライダーは三振を狙うことが多かったが、高めのフォーシームとのコンビネーションで投げるスライダーは、空振りばかりを狙うのではなく、ゴロを打たせるという新しい幅ができている。OP戦第3戦のレッズ戦では、スライダーで併殺打を取る場面もあった。
 
 また、第3の球種、チェンジアップも改良している。
 
 メジャーの打者を抑えるチェンジアップにはある種の傾向があり、菊池もシフトチェンジを試みているのだ。
 
 というのも、メジャーリーグの多くのバッターは投手の手首を見て球種を判断する。つまり、日本で多く投げられているサークルチェンジ系のチェンジアップは、抜いて投げるため、バッターに判別されやすい。“スプリットチェンジ”とも言われるスプリットと似たチェンジアップの方が手首を使えるから有効的なのだと評論家などからアドバイスをもらい、改良に成功したのだ。

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