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“大谷ルール”史上初の適用は大谷ではない? MLBの新定義「二刀流」が意味するもの

2019/03/16

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大谷を“起爆剤”に多くの「二刀流」が誕生へ

 MLB機構と選手会が合意した新ルールで2020年シーズンからベンチ入りロースターに登録される選手は「投手」「野手」、そして「二刀流(Two-Way Player)」のいずれかに区別されることになった。
 
 明らかに大谷翔平投手(ロサンゼルス・エンゼルス)が昨季投打で活躍したことによって作られた新ルール。その為、これを「大谷ルール」と呼ぶ向きもあるが、ルールを子細に検討すると、皮肉なことにその「大谷ルール」が適用される史上初の選手は大谷にはならない可能性が大きいことがわかる。
 
 二刀流選手として登録されるには以下の条件を全て満たさなくてはならない。
 
(1)現シーズン、あるいは前年シーズンにおけるメジャーリーグ公式戦で、
(2)投手として20イニング以上登板し、
(3)野手あるいは指名打者(DH)として20試合(各試合最低3打席)以上に出場する
 
 大谷は投手として昨季51回2/3を投げ、指名打者として82試合に出場している。従って、「大谷ルール」が今季から適用されるのであれば、大谷は二刀流選手の要件を満たしている。
 
 だが、昨季に受けた右肘側副靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)のため、大谷は2019年シーズンの出場は指名打者に限定されると見られている。つまり、「大谷ルール」の適用が開始される2020年シーズン開幕時では大谷には二刀流選手としての資格がないことになる公算が大きい。
 
 同時に、適用される新ルールでは「野手」が登板するには6点差以上がつくか、延長戦に入っているかのどちらかでないといけない。だが、「投手」が打席に入ることについては制限はない。
 
 大谷の肘が2020年シーズンまでに完治した場合、エンゼルスはまず大谷を「投手」として登録。昨季と同じように大谷を登板日以外は指名打者として起用し、打者としての出場が20試合に達した時点で「二刀流選手」に切り替えることが出来る。そうして空いた「投手」枠に他の選手を登録して、初めて投手陣を増強することが可能になる。
 
 全てが順調に行けば、2020年シーズン開幕後に大谷が「二刀流選手」の条件を満たすまでには数週間ぐらいしかかからない。エンゼルスのブラッド・オースマス監督は「大きな問題ではない」と楽観的で、新ルールを歓迎している。

大谷のチームメイトが2020年にも正式登録の可能性

 一方で、今季から二刀流としての起用が予想されるマット・ダビッドソン内野手(テキサス・レンジャーズ)や、大谷のチームメイトであるケイレブ・コワート内野手やジャレッド・ウォルシュ内野手などの選手が新ルールの制限がない今季中に条件を満たせば、彼らが2020年シーズン開幕を史上初の公式な「二刀流選手」として登録される選手になる可能性がある。
 
 ブレンダン・マッケイ内野手(タンパベイ・レイズ傘下)など現在マイナーリーグで二刀流選手として育成中の選手が2020年以降にメジャー昇格を果たしたとしても、メジャーデビューの時点では当然ながら条件を満たしていないので、正式な「二刀流選手」としての登録は出来ない。こうした選手の場合も、所属チームはエンゼルスが大谷に対して行うであろう起用法を取る必要が生じることになる。
 
 メジャーリーグに新たな歴史を刻んだと言って良い「大谷ルール」は、今後どのような影響をリーグ全体に及ぼしていくだろうか。