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MLBとNFLが争奪戦か。カイラー・マーレイがNFLドラフト参加を宣言、史上初の同年1位も

2019/01/18

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 オークランド・アスレチックスからドラフト1位指名(全体7位)を受けているカイラー・マーレイ(オクラホマ大学3年)が14日(日本時間15日)、自身のツイッターを更新し、NFLのドラフトに参加することを公式に宣言した。
 
 マーレイは、大学アメフトではクオーターバック(QB)として2018年度の全米最優秀選手(ハイズマン・トロフィー)を受賞する活躍を見せており、MLBとNFLの両方のドラフトで同年に1位指名を受ける史上初の選手となる可能性が現実味を帯びてきた。
 
 NFLドラフトは4月25日に行われる。今回の宣言は3年生のマーレイがもう1年大学にアメフト選手として残る選択肢がなくなったことは意味するが、マーレイがプロアスリートして野球とアメフトのどちら(あるいは両方)を選ぶかは依然として不明のままだ。
 
 マーレイがアメフトのみを選んだ場合、アスレチックスから得た契約金約5億円を返還することになる。しかし、NFLのドラフト1位選手は通常その倍以上の金額を受け取るので、マーレイには経済的な面でのデメリットは少ない。むしろ、初年度から複数年契約がオファーされるケースが多いなど、同じドラフト1位であればNFLの方がMLBよりはるかに待遇が良い。
 
 仮にマーレイがアスレチックスに入団すると、MLBの現行ルールではマイナー契約となる。その後マイナーリーグでのキャリアがすべて順調にいったとしても、メジャーリーグに昇格するまでは最低でも2年かかる(2021年)し、そこから年俸調停資格を得るまでに3年(2024年)、そしてフリーエージェント資格を得るまでにはさらに3年(2027年)の長い年月が必要になる。
 
 『スポーティング・ニュース』のライアン・ファーガン記者は、MLBとNFLのドラフト1位を比較する一例として、2018年NFLドラフトで全体9位の指名を受けたマイク・マクリンチー(サンフランシスコ・49ナーズ)を挙げている。マクリンチーは約12億5000万円の契約金と約20億円の保証が付いた4年契約を得て、1年目からNFLのレギュラー選手として活躍している。
 
 スポーツ専門局『ESPN』のジェフ・パッサン記者によれば、一方の当事者であるアスレチックスはMLB機構と協議し、マーレイの契約金を上乗せし、さらに初年度からメジャー契約(40人ロースター枠)を結ぶことを既に検討していると見られている。マイナーデビューすらしていない選手の存在がメジャーリーグの制度そのものに変更をもたらす可能性もあるわけで、まさに前代未聞の事態だと言えよう。
 
 アスレチックスがマーレイを説得できず、マーレイがNFLを選んだとしても、プロ野球選手としての拘束権利はアスレチックスが保持する。つまり、マーレイがアメフトを引退して野球に挑戦する場合はアスレチックス傘下に入ることになる。
 
 いずれにしても、2月になれば、マーレイの進路は明らかになると思われる。2月16日にはアスレチックスの春季キャンプがアリゾナで始まる。そして2月26日にはNFLのドラフト候補生が一堂に会して運動能力テストを受けるNFLスカウティングコンバインがインディアナポリスで行われる。マーレイはそのどちらかには必ず現れなくてはならないからだ。
 
 マーレイを口汚く批判したとして、アスレチックス応援サイト『Athletic Nation』のある公式ライターが解雇されるなど、マーレイを巡る憶測や報道は日に日に過熱している。野球ファンがマーレイのアスレチックス入りを待望するように、アメフト関連のサイトではマーレイがどのチームにフィットするか、どのチームが指名するかといった記事が急増している。今後の推移に注目したい。
 
 
角谷剛