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プロ選手経験ゼロ。ドジャーズ新打撃コーチの異色の経歴とは? J.D.マルティネスを開花させた実績も

2018/12/13

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「オールド・スクール」との決別、一方リスクも

 ヴァン・スコヨックは2016年と17年にドジャーズにコンサルタントとして招かれ、2018年にはアリゾナ・ダイヤモンドバックスで「打撃戦略スタッフ」という新たな役割を担った。ドジャーズの新打撃コーチに就任する以前のヴァン・スコヨックのMLBにおけるキャリアはそれだけだ。
 
 ドジャーズ前任打撃コーチのターナー・ウォード(現シンシナティ・レッズ)が元メジャーリーガーとして12年間の現役経験と6年間のコーチ経験を持っていることとは対照的。さらにウォードより前の打撃コーチは、通算583本塁打のマーク・マグワイヤ氏だ。
 
 ドジャーズがプロ未経験のヴァン・スコヨックを打撃コーチに起用することは、現役時代の経験と名声を背景にした伝統的な「オールド・スクール」的コーチ像からの決別をも意味するのかもしれない。
 
 だが、ドジャーズ・ファンにとっては気がかりな点もある。ヴァン・スコヨックの理論―バットの軌道を長く保ち、ボールに角度をつける―は、足の蹴りを大きくし、手の始動を早めるなどの大きな打撃フォーム改造をもたらすことだ。新しい試みが常に即効性や安定した結果をもたらすとは限らない。マルティネスのような成功例はあっても、それが多くのプレイヤーに作用する保証もない。実際に、ヴァン・スコヨックが1シーズンだけ在籍したダイヤモンドバックスは成績不振に陥り、デーブ・マガダン打撃コーチも解雇されているのだ。
 
 ドジャーズは2年連続でワールドシリーズに進出したものの、世界一の座を逃し続けている。2019年こそ王座奪取の期待は大きい。ある意味ギャンブルと言えるかもしれないヴァン・スコヨックの起用は、果たして攻撃陣の強化につながるだろうか。
 
 
角谷剛

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