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田中将大、見極められたスプリット――新スタイル確立は”制球力”の復活にあり

ヤンキース・田中将大の今季2試合目となった12日のレッドソックス戦は、打線に勝たせてもらった今季初白星だった。5回を4安打4失点、97球で降板となった。昨年の田中を支えた、スプリットと高い制球力の2つの要素、ここの精度が高まらない限り本来の田中は戻ってこない。

2015/04/14

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ツーシームは、気候や環境で変化が違う

 これにはスプリットの乱調と、スタイルの転換が起因となっている。
 ツーシームの投球数を増やしたが、微妙な制球を身に付けるまでには至っていない。ジョー・ジラルディ監督も「速球系の制球には、まだまだ改善の余地がある。前回は速球の制球に苦しみ、今回は変化球が良くなかった」と話している。

 一朝一夕に身に付くものでもない。
 これには経験が何よりも必要となる。広大な米国本土を舞台とする大リーグでは、それこそ東海岸と西海岸の球場では、全く異なった顔をのぞかせる。気候や標高が全く異なるため、地域によってボールの変化が違うのだ。
 そしてその地域ごとに異なる変化を、最も受けやすい球種がツーシームでもある。一般には右投手なら右打者の内角膝元へ沈み込むように、高速シンカーと呼ぶべき変化をみせることが多い。だが、ちょっとした指先の力加減や気候の変化で、棒球や、真下に沈んだり、時にはカットボールのように曲がることさえある。

 投手にとっても扱いこなすのは難しい、文字通りの魔球なわけだ。

 新スタイルを完全にマスターするには、まだまだ時間が必要だ。その過程で、頼るべきスプリットまで乱れてしまうと、田中は何の魅力もない普通の投手になってしまう。

「開幕戦よりは良くなったが、そこまで一気に完璧になるものでもない。少しずつ状態を上げていければいい」

 黒星発進だった6日のブルージェイズ戦に比べて、前進を口にした田中。ただ認めているように、劇的に良くなることはすぐには望めない。当面は我慢の投球を強いられることになりそうだ。

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