大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



Home » ニュース » エンゼルス28歳の新人捕手がメジャー新記録の大活躍 マイナー苦節12年「二塁ベースを回って涙が」

エンゼルス28歳の新人捕手がメジャー新記録の大活躍 マイナー苦節12年「二塁ベースを回って涙が」

2018/07/30

text By



 この男が、チームの新たな救世主となるのだろうか。ロサンゼルス・エンゼルスの新人、28歳のフランシスコ・アルシア捕手が26日(同27日)に鮮烈なメジャーデビューを飾り、注目を浴びている。
 
 マーティン・マルドナード捕手がヒューストン・アストロズへトレード移籍したことに伴い、26日にエンゼルス傘下3Aソルトレイク・ビーズからメジャー初昇格を果たしたアルシアは、同日のシカゴ・ホワイトソックス戦でメジャー初安打となる3ラン本塁打を含む4打数2安打4打点の活躍。さらに、1試合を挟んだ28日(同29日)のシアトル・マリナーズ戦では2試合連続となる3点本塁打と2本の二塁打を打ち、4打数3安打6打点の大活躍を見せた。
 
 デビュー後2試合での10打点は、1954年にセントルイス・カージナルズのジョー・カニングハム氏が挙げた9打点を抜き、64年ぶりのメジャーリーグ新記録。また、エンゼルスの新人選手が1試合に6打点以上を挙げたのは、2000年にアダム・ケネディ氏が8打点を挙げて以来の快挙だった。
 
 ベネズエラ出身のアルシアは、2007年にニューヨーク・ヤンキース傘下のルーキーリーグでデビューして以来、12年間をマイナーリーガーとして過ごしてきた。ヤンキース、マイアミ・マーリンズ、そしてエンゼルス傘下の合計11チームを渡り歩いてきたが、その間メジャーに昇格したことは一度もなかった。
 
 驚くべきことに、その12年間のマイナーリーガー時代、584試合に出場しながら、通算本塁打は僅か25本。昨シーズンは2Aで28試合、3Aで15試合に出場して打率.220で本塁打はゼロ。年間を通して3割以上の打率を挙げたことも一度もなく(3試合の出場にとどまった2011年は除く)、打撃より守備を評価された選手だった。
 
 メジャーデビュー戦で初安打初本塁打を放ったアルシアは、「この日を長いこと夢見てきた。二塁ベースを回る頃には涙が出てきそうだったよ」とインタビューで語っている。
 
 アルシアは右投げ左打ち。エンゼルスには右投げ右打ちの捕手ホセ・ブリセーニョがいる。当面は対戦相手の先発が右投手の場合はアルシア、左投手の場合はブリセーニョがマスクを被ると見られる。
 
 ブリセーニョもアルシアと同じくベネズエラ出身で、今シーズン初めてメジャーに昇格した新人捕手であることも共通している。ブリセーニョは29日(同30日)現在で打率.255。彼もマイナーリーガーとして8年間を過ごし、通算打率は.240だったから、マイナー時代を上回る成績をメジャーで残している。
 
 アルシア28歳、ブリセーニョ25歳、2人のベネズエラ出身新人捕手がシーズン後半戦のエンゼルス投手陣をどのようにリードしていくだろうか。

1 2