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前田健太、日本人メジャーリーガーらしからぬ成長曲線。チェンジアップの変化が奪三振増加の一因【小宮山悟の眼】

ロサンゼルス・ドジャースの前田健太のピッチングが今季から様変わりした。24日(日本時間25日)の前回登板は7回4失点で勝敗はつかなかったが、今季どのような変化を遂げているのか考えたい。

2018/07/29

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昨季のリリーフ経験が生きている

 前田の成長曲線はこれまでのメジャーリーガーとは異なる印象だ。
 
 多くの日本人メジャーリーガーは、1、2年目の成績が良く、少しずつ相手が慣れてくる印象が強い。しかし、前田の場合、1、2年目は防御率が高いながらも勝利を挙げていたが、ここにきて成長を見せている。3年目になっても伸びを感じさせる、前田のような右肩上がりの上昇は初めてかもしれない。
 
 この成長には、昨季のポストシーズンでリリーフを務めた経験が生きているのではないか。
 
 リリーバーは先発とは異なり、遊び球を多く使うことはない。少ない球数で1イニングを抑えるということを積み重ねていく。目の前を見て勝負するというピッチングが求められる。前田は昨季の開幕後は、長いイニングを投げたいという思いがあったようで、目の前の打者に全力を出していなかった。リリーバーを経験したことで意識に変化が生まれたのではないか。
 
 ドジャースは、ナショナル・リーグ西地区首位に立ち、オールスターゲーム後にはマニー・マチャドを獲得した。ポストシーズンへ向け、戦力を整えて一気にリーグ優勝に向かうはずだ。
 
 その点で言うと、前田がブルペンで使える目途が立っていることはやや微妙なところだ。前半戦の最後も好リリーフを見せた。ポストシーズンはエースのカーショウを中心に先発を回していく中で、他の投手をブルペンに回すよりも前田をリリーフに使った方が失敗しないと思われすぎると、先発よりリリーフ起用という選択になる可能性もある。
 
 もちろん、ピッチングの信頼度が上がっていけば別だ。カーショウに次ぐレベルの存在感を示せば、ポストシーズンでも先発で使われるだろう。
 
 いずれにせよ、今季の前田は大きく成長を遂げている。メジャーリーグの名だたる投手たちと肩を並べる三振率がそれを物語っており、本人もかなり手応えをつかんでいる。
 
 同じく日本人投手のニューヨーク・ヤンキース田中将大は、前田が前回登板した24日に完封勝利を挙げた。ヤンキースのポストシーズン進出は間違いないだろう。ワールドシリーズで日本人投手の投げ合いもあるかもしれないと、期待が膨らむ。
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。
 
 
氏原英明

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