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大谷翔平はなぜ走力が高いのか――肩甲骨に秘密あり

MLB1年目の大谷翔平選手が、期待以上のパフォーマンスを発揮できている。運動科学研究の第一人者であり、5月7日に『肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!』を上梓した高岡英夫氏は活躍の理由として”肩甲骨の使い方”を挙げる。

2018/07/02

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Getty Images、運動科学総合研究所

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打撃フォームの改造は理にかなっていた

 今度、意識して大谷選手が走る姿を見てみてください。見た直感が大事なのですが、左右両側の腰が各々、クルクルクルクルと前方へ向かって回るようにしながら腿が運ばれ、地面をとらえているような感じがすると思います。あれが、実は「甲腸連動」の腸骨による「ズレ回転運動」、すなわち「腸骨ローテーション」です。大谷選手は素晴らしい「腸骨ローテーション」が使えているのです。さらに、それだけの「腸骨ローテーション」が使えるようになると何が起きるかというと、バッティングやピッチングにおける下半身の動きも、「甲腸連動」による腸骨による「ズレ回転運動=腸骨ローテーション」が使えるということです。
 
 私の見立てでは、ピッチングのほうがまだ、「甲腸連動」が働く余地が多く残っています。腸骨ローテーションがもっと使えていいはずです。言い換えれば、さらにピッチングを高めるための潜在力が多く残されているということです。バッティングも日本にいた時代は右足を上げていたのですが、その頃は「甲腸連動」による「腸骨ローテーション」が使えていませんでした。
 
 メジャーリーグに行って、オープン戦で全然対応できない大谷選手が、リーグ戦に入るや突然変わったでしょう?! 足を上げなくなって地面に足を置いたまま引きつけるだけにしたのです。実はこの打撃フォームの変更は、シーズン開幕3日前に、エンゼルスのヒンスキー打撃コーチの提案によるものであることが明らかになっています。ヒンスキーコーチは頭の上下動をなくすことでボール認知を改善する狙いだったそうですが、結果としてこれは大変すばらしいアドバイスとなりました。というのは、足を上げず地面に足をつけて引きつけるだけにしたことによって、実は腸骨のズレ回転運動が起きるようになったからです。バッティングでは地面に足をつけ引きつけて行うと、甲腸連動が使える潜在力がある選手は腸骨にスイッチが入り、うまく野球において非常に重要な腰が切れるようになるのです。腰を切って回す力「腰切り回転力」というのは、この「甲腸連動」による腸骨の「ズレ回転運動」に支えられているのです。
 
 そのように見ていくと、バッティングの肩甲骨使い、ピッチングの肩甲骨使いが「甲腸連動」によってバッティングやピッチングでの下半身の腰使いにつながり、さらにそれらの肩甲骨使いが走塁時の「甲腕一致」の腕振りから「甲腸連動」によって走りの「腸骨ローテーション」にまでリンクしているのです。これを「肩甲骨・腸骨リンクシステム」といいます。大谷選手の場合、こうした多くのファクターがひとつのシステムとして機能し合い、すべてが好循環となる“輪”を形成しているのです。
 
 また肩甲骨が「立甲」し「甲腕一致」が使えると、野球に限らず全てのスポーツにとって最重要のファクターである軸と体幹の屹立と安定がより強化されることも、特筆すべきことです。軸と体幹の強化は、全ての動きのパワー効率と精度を高め、さらにメンタルを強化させることにも役立つからです。
 
第1回 運動科学から見た、打者・大谷翔平のパフォーマンスの高さと故障の要因はこちら
 
第2回 運動科学から見た、投手・大谷翔平の凄さ。肩甲骨の自由度が生み出すスピード・球威とコントロールはこちら
 
【書籍紹介】肩甲骨が立てば、パフォーマンスは上がる!
 
http://jr-soccer-shop.jp/products/detail.php?product_id=1306
 
高岡英夫著(運動科学総合研究所所長)、A5判、P256、定価:1700円+税
 

 
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