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前田、データが語る4勝目 8凡打&12三振の“Kentime”支えた「70%」の支配力

2018/05/24

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初球ストライク20度、3球以下の勝負11度…強打者は変化球で仕留める

 この日も、前田はオースティン・バーンズ捕手とのコンビで圧巻の投球を見せた。まず、球数111球はメジャーに来て最多だったが、今季100球以上を投げたのは3度目。ちなみに、デビュー年の2016年目は32先発で8度、2017年は25先発で2度のみだった。
 
 111球中ストライクは78球で、ストライク率は70.27%となり、2戦連続で7割を超えた。25人の打者に対し20人から初球ストライクを取り、各打者3球までにカウント0-2、1-2と追い込んだのは9度。これは6度の3球三振を含め、3球以下で打ち取った11人の打者は含めない数字だ。
 
 イニング毎の球数は初回16球(ストライク9球)、2回13球(同10球)、3回17球(同11球)、4回16球(同11球)、5回17球(同13球)、6回18球(同14球)、7回14球(同10球)。計111球を投げたが、上記のように各打者をストライク先行で攻められたことで、テンポも良くなり、疲労も感じにくかったかもしれない。
 
 また、アウトの内訳はゴロアウト5(併殺含む)、フライアウト3、奪三振12となっており、奪三振が中盤以降に集中したことから、打たせて取ったアウト8個中7個が序盤3回までに記録したものとなっている。
 
 球種では、速球が55球、スライダー34球、カーブ14球、チェンジアップ8球。速球は初回に93.2マイル(約150キロ)を計測した後、降板する7回にも92.3マイル(約149キロ)を右打者の外角低めに投げ込めていたことから、威力の衰えも感じさせなかった。
 
 また、この日奪った12個の三振の決め球は、スライダーが5つで最も多く、他はカーブ3つ、速球とチェンジアップがそれぞれ2つだった。特に、2番打者から4番打者にかけて奪った6個の三振はいずれも変化球と、強打者に対して高い技術で上回るレベルの高い勝負が見られた。序盤の打たせて取り「凡打の山」を築いた投球に加えて、中盤からの「三振の山」。まさに支配的、圧巻の投球だった。
 
 11日(同12日)のシンシナティ・レッズ戦で5回途中5失点と崩れた後の、2戦連続好投。しかも8回、7回途中と長いイニングを投げての白星なだけに、この2戦は前田自身、ブルペン陣、そしてチーム全体にとって大きなプラスになった試合と言える。
 
 チームは最近7戦で6勝。主砲の1人ジャスティン・ターナー内野手が復帰し打線も活発になってきたことから、前田をはじめとする先発投手陣が好投すればチームの勝利に格段と近づいていくだろう。

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