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大谷、チームの勝利に大きく貢献した好投。幅広い緩急と制球が生んだ序盤からの“優位性”

2018/05/14

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初球ストライクは13度。カーブの投球数は最多を更新

 この日の大谷は、序盤からツインズ打線を圧倒した。投球数103球に対して、その内ストライクは66.9%となる69球。この割合は、メジャー初登板となった4月1日(同2日)の敵地でのオークランド・アスレチックス戦で記録した68.2%に次ぐ2番目に高い数字だった。そして特に、序盤3回までは45球中31球がストライクと圧倒的なコントロールを以て試合を支配していた。
 
 また、初球ストライクは対戦した打者全24人の内13度。5回までに限ってみると、18人中11度あった。さらに、各打者3球を投じた時点で0-2、1-2と追い込んだのは9度。これは、5度の3球三振など3球目までに決着が付いた打者はカウントしていない中での数字だ。3球三振を含めて3球以内でアウトに打ち取ったのは8度あるので、いかに各打者に対して優位に立って勝負していたかが分かる。
 
 一方で、フルカウントまでいったのは3度。2度記録した初回はいずれもアウト、降板した7回に1度記録したものは結果的に四球となり、これはこの日最後の打者に対するものだった。また、3-1とボール先行となったのは2度。いずれも6回で、先頭打者から2者連続で記録している。先頭の1番打者ブライアン・ドージャー内野手には四球を与えてしまったが、2番マックス・ケプラー内野手に対しては結局右飛に打ち取った。
 
 ゴロアウトの内訳は、ゴロアウト4(封殺含む)、フライアウト4、奪三振11。球種は、速球が43球で41.7%を占め、スライダー24球、スプリット20球、カーブ16球。自身メジャー最多の球数になり、それぞれの球種が前回登板より多くなるのは自然なことだが、前回11球と自身最多を投じたカーブは今回さらに増えて16球。ストライクは10球を数え、その内見逃しは3球。空振りが2球、バントミスを含めてファウルが5球だった。打者別ではケプラー、指名打者のローガン・モリソンに対してそれぞれ計4球投じたのが最多だった。この日の速球の最速は99.4マイル(約160キロ)だったのに対して、カーブの最遅は71.2マイル(約115キロ)。この球速差があり、ストライクが取れる球種でもあるので、今後も継続して使っていくことは有効だろう。
 
 そして、この日の大谷の投球で最も目を引いたのはやはり奪三振。11個の奪三振は、2度目の登板となった4月8日(同9日)の本拠地でのアスレチックス戦で記録した12個に次いで2番目に多い数字。また、それぞれの最終球となったのは、スプリットが5度で最も多く、次にスライダーで3度、以下速球で2度、カーブで1度となっている。
 
 味方打線の援護に恵まれない中、惜しくも勝ち星を逃した大谷だが、前回と同様に投球内容は良い。100球を超え、四球を出した直後だったとはいえ、それまでのスコアが1-0という僅差だっただけに悔しさが残るマウンドになったことだろう。だが、結果としてチームは試合にサヨナラ勝ち。大谷の好投が勝利に繋がったのは確かな事実だ。
 
 エンゼルスの監督に就任して19年目を迎えるベテランのソーシア監督は、例年細かい継投を実行するスタイルを取っているだけに、少ない球数でいかに打者を打ち取りイニングを稼ぐかかが勝ち星の数を左右していくかもしれない。一方で、ソーシア監督自身も大谷のその日の状態を見極め、苦しい台所事情を抱えるブルペン陣も見極めながら続投・継投の決断を下していく必要がある。
 
 大谷の次回の先発登板は、マイク・ソーシア監督が考える中5日案なら5月19日(同20日)の本拠地で行われるタンパベイ・レイズとの4連戦の2戦目。今回と同じように中6日であっても、翌日20日(同21日)の同カードの3戦目となることが予想される。また、打者としては中1日を置いて15日(同16日)に本拠地で行われる、同じアメリカン・リーグ西地区で首位のヒューストン・アストロズ戦での出場が予想される。

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