大谷翔平選手をはじめとした日本人メジャーリーガーを中心にメジャーリーグ・日本プロ野球はもちろん、社会人・大学・高校野球まで幅広いカテゴリーの情報を、多角的な視点で発信する野球専門メディアです。世界的に注目されている情報を数多く発信しています。ベースボールチャンネル



「打者・大谷」全米に衝撃与えた15安打。“ゾーン”で見る驚異の適応能力、今後の課題は

 ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平投手が、メジャーリーグ最初の1カ月を終えた。投手として2勝を挙げた一方、打者としても3試合連続本塁打を含む4本塁打を記録するなど打率.341を記録。渡米前から「二刀流」としてオフの話題をさらった大谷だが、その注目と期待に見事に応える結果を見せた。

2018/05/08

text By

photo

Getty Images



オープン戦で生まれた“問題”を早々に克服

 当初、大谷に対して徹底した内角攻めが有効であると考えたチームは多いだろう。スプリングトレーニングのオープン戦で苦戦していたことが理由として考えられる。しかし、蓋を開けてみれば安打としたゾーンは約半分が内寄りの球だった。本塁打も4本中2本が内角である。
 
 高めに来た速球、低めのカットボールも見逃さず、安打を積み重ねている。1本ずつ記録した二塁打、三塁打もともに内角やや高めの速球。それも引っ張り込むだけではなく、二塁打に関してはカンザスシティ・ロイヤルズの右腕ジェイソン・ハメルから逆方向の左翼線に落とすものだった。大谷が持つ適応能力の高さが、ファンや評論家を驚かせた。
 
 攻略した球種も豊富で、同じ速球でもゴセットから放った本塁打は手元で変化するツーシーム。そして、いずれも単打ではあったが内角のカットボールを2度、低めのカーブを2度、低めのチェンジアップ1度を捉えて安打としている。
 
 一方で、安打としたゾーンで少なかったのが外角だ。2本の本塁打を含めた3本の安打は「やや外」と表現するが、見方によっては「ほぼ真ん中」と言えるゾーン。内外角問わず甘い球く入ってきた球を見逃さず、打ち損じをしなかった大谷の凄さがそこにはあった。しかし、際どいコースに来た球を安打としていないのは今後の課題となる。
 
 開幕戦のアスレチックス戦で左腕ライアン・ブクター投手の外角低めの81マイル(約131キロ)のカーブを一ゴロとしたのをはじめ、4月4日(同5日)のインディアンス戦で本塁打を放ったクルーバーに対して、第1打席では外いっぱいの92マイル(約148キロ)の速球に見逃し三振。リリーフ左腕のアンドリュー・ミラー投手と対した際には、外角に来た84マイル(約135キロ)のスライダーの前に二ゴロに倒れた。
 
 また、4月12日(同13日)のロイヤルズ戦でも、2回の第1打席に右腕イアン・ケネディ投手の外角低めの93マイル(約150キロ)の速球に見逃し三振。19日(同20日)のボストン・レッドソックス戦では、2回の第1打席で左腕エデュアルド・ロドリゲスと対戦し外いっぱいの92マイル(約149キロ)の速球に一ゴロと凡退している。

1 2 3