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大谷の165キロ速球、体感速度は“超一級品”も…バットに当たりやすい要因は回転数にあり?

MLB公式データ解析ツール「Statcast」の速球部門において、4月30日(日本時間5月1日)現在、球速ランキングの上位50球はたった4投手が名を連ねている。速球部門には、球速のほかに「体感速度」「回転数」の項目があり、この指標を比べると、それぞれの特徴が見えてくる。

2018/05/02

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スピードは一級品でも回転数は…

 もう一つの指標、回転数(rmp)は1分間にボールが何回転するかを表す。投げられたボールは、重力によって物理的に下方に落ち続ける。しかし、回転数が上がれば上がるほど、ボールにかかる揚力が増し、下方に落ちるポイントが遠くなる。ここでは、「伸びがある」や「ホップする」と形容される速球は回転数が多いフォーシームを比較する。
 
 大谷が投じた球速101.0マイルの回転数は2184rpm, チャップマンの球速101.4マイルは回転数2680 rpm、ゲレーロの球速101.8マイルは2390rpm。大谷の回転数が最も低い。つまりチャップマンのボールに最も伸びがあり、大谷のボールが最も伸びを感じられなかったことになる。
 
 今季ここまで大谷が投じた4シーム全155球の平均回転数は2201.72 rpmで、メジャー全投手の今季平均2263.21 rpmを下回っているのだ。
 
 大谷は先発投手で他の3人はリリーフ投手だから単純には比較できないという側面もある。メジャー屈指の先発投手と回転数を比較する。5月1日(日本時間2日)時点での今季の成績とフォーシームの解析データだ。
 
大谷翔平(ロサンゼルス・エンゼルス)
2勝1敗 防御率4.43、平均球速97.36マイル、平均回転数2201.72 rpm
 
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)
4勝0敗 防御率1.36、平均球速94.63マイル、平均回転数2628.99 rpm
 
マックス・シャーザー(ワシントン・ナショナルズ)
5勝1敗 防御率1.62、平均球速93.55マイル、平均回転数2524.58 rpm
 
 バーランダーとシャーザーは現在のメジャーを代表する右腕の速球派だ。2人とも球速は大谷に遠く及ばないが、回転数は大きく上回っている。
 
 大谷のボールは速いがバットに当てられることが多いとは北海道日本ハムファイターズ時代から言われてきたことだ。実際に日本最速165キロを出したときも、その前に164キロのボールをファウルにされている。スピードは超一級品だが、回転数が低いため、バットに当てやすいボールと言えるのかもしれない。
 
 
文・角谷剛

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