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“崩壊危機”エンゼルス先発陣の救世主? 大谷とともに期待される21歳右腕がデビュー

2018/04/12

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先発3人が故障…大谷の陰で光った初勝利

 大谷翔平投手が所属するロサンゼルス・エンゼルスは、昨シーズン先発陣のほぼ全員が故障者リスト入りを経験する事態に陥り、今季は大谷を含めた6人先発ローテーションを組んで、故障者を少なくシーズンを乗り切ることがオフからの課題だった。
 
 ところが、シーズンが始まってわずか1週間あまりで早くも先発投手3人(マット・シューメイカー、アンドリュー・ヒーニー、J.C.ラミレス)が故障者リスト入りして脱落してしまっている。大谷の投打にわたる大活躍もあって、9勝3敗でアメリカン・リーグ西地区首位(10日現在)と好調に見えるエンゼルスだが、実は先発投手陣は崩壊の深刻な危機にある。
 
 そんな中迎えた11日(日本時間12日)のテキサス・レンジャーズ戦。2試合ぶりに大谷が「8番・指名打者」で先発出場することが多くの注目を集めた試合で、21歳のパナマ出身ハイメ・バリア投手が先発としてメジャー初登板を果たした。
 
 バリアはデビュー戦の緊張からか、初回こそ連続四球を出すなど制球に苦しんだが、回を追うごとに徐々に本来の落ち着きを取り戻す。150キロ前後の速球とチェンジアップを効果的に織り交ぜ、コーナーを丁寧に突くピッチングで、5回を投げてソロ本塁打による1失点だけに抑える好投。エンゼルスはそのまま7-2で勝利し、バリアは嬉しいメジャー初登板初勝利を飾った。
 

16歳で契約。5年間のマイナーを経て掴んだ夢舞台

 バリアは、わずか16歳でエンゼルスと海外フリーエージェント選手として契約している(契約金は約600万円)。同チーム傘下のドミニカ・ルーキー・リーグのドミニカン・エンゼルスからマイナーリーガーとしてのキャリアを開始し、4年間でルーキーリーグ、ルーキー・アドバンスド・リーグ、1Aと3階層6チームを昇格していき、昨シーズン開幕時には1Aアドバンスド・リーグのアイランド・エンパイア・シックスティシクサーズのロースターに名前を連ねた。
 
 2017年におけるバリアの成長は目覚ましく、6月には2A、シーズン終盤には3Aと異例のスピードで昇格していった。3つのクラスを通して7勝9敗、防御率2.80の成績を残し、7月にはマイナーリーグのオールスターにも選出されている。
 
 そして、今シーズンはついに40人ロースターに選ばれ、メジャーリーガーの仲間入りを果たしたものの、開幕ベンチの25人枠には入れず、3Aソルトレイク・ビーズで開幕を迎えた。しかし、前述した3先発投手の脱落に伴い、エンゼルスはバリアをメジャーリーグに呼び返し、いきなりレンジャーズ戦に先発投手として起用するという思い切った賭けに出た。
 
 わずか21歳ながら、5年間をかけてマイナーリーグの底辺から登りつめてメジャーに這い上がってきたバリア投手。はたして崩壊がささやかれるエンゼルス投手陣を立て直す救世主になれるのか、今後の活躍に期待したい。