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牧田と平野に立ちはだかる最大の壁。日本人リリーフがメジャーで成功するポイントは?【小宮山悟の眼】

メジャーリーグのスプリングトレーニングが始まった。まだ日本人選手の中には未契約選手もいるが、今回はメジャーに舞台を移した2人のリリーバー、牧田和久(パドレス)と平野佳寿(ダイヤモンドバックス)の成功ポイントについて話したい。

2018/02/22

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開幕前にどれだけ“アジャスト”できるか

 私が2002年にニューヨーク・メッツに入団したときは、オープン戦で多くのテストが行われた。当時の監督はボビー・バレンタインで、先発投手である私にもブルペンに対応できるような機会を与えてくれたのだ。リリーバーとしてマウンドに上がった際、「イニング跨ぎ」した場合のダメージはどれくらいかなど、試すことができた。
 
 ある試合では、最終回の登板が決まっていたがブルペンに連絡が来なかったことがあった。そして9回二死でようやく「行くぞ」と連絡があった。つまり、スクランブルの状態でパフォーマンスを発揮できるかを試されたのだ。当然、うまくいかなかったが、ボビーからは「何球でマウンドに行けるか計算する目安にはなっただろう」と言われた。メジャーのオープン戦は、そういうテストをする場でもある。
 
 牧田や平野は、オープン戦で10~12試合ほど登板のチャンスが与えられるだろう。その中でどれだけアジャストできるか。登板まで20球以上の投球が必要なままでは、立場は厳しくなる。メジャーの環境下で、日本と同様のパフォーマンスを発揮することが求められるのだ。
 
 彼らが1番後ろの役割を与えられたら、それなりに結果が出せると思う。しかし、メジャーはそう甘くない。特に牧田は、ロングリリーフを計算しながらの登板になるだろうし、予定より前倒しの登板もあるだろう。いかに環境に慣れるか。
 
 もちろん、マウンドの傾斜の違いなど対応していかなければならない要素は他にもあるが、まずは散々言われてきた「滑るボール」と調整法の違いに慣れることが成功のポイントだ。
 
 リリーバーがメジャーで大活躍することができれば、これまで以上にメジャーを志す日本人投手が増えてくるだろう。牧田や平野の成功は球界の活性化にもつながる。世界の舞台を経験して選手として大きくなってほしい。
 
 
小宮山悟(こみやま・さとる)
 
1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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