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古くは明治2年、現在の経済効果は800億円以上も。メジャーリーグ春季キャンプの歴史

メジャーリーグでも春季キャンプがスタート。日本とは異なり、多くの試合を行う中で調整するのが主流だが、その歴史はどのようなものなのだろうか? また、現在ではレギュラーシーズン以上に人気を集めるため、莫大な経済効果を生んでいるという。

2018/02/16

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広範囲に散らばる球団が集結する春季キャンプ

 今年はエンゼルスの大谷、カブスのダルビッシュ、ドジャースの前田、マリナーズの岩隈、パドレスの牧田、ダイヤモンドバックスの平野と、日本人が所属するメジャーリーグ球団の多くがアリゾナに集まる。2月13日現時点ではイチローと上原の移籍先は未定であるが、フロリダのグレープフルーツ・リーグに参加する日本人メジャーリーガーはヤンキースの田中とマーリンズの田澤だけになる可能性もある。
 
 公式戦が始まるとメジャーリーグの球団は広大な北米大陸に散らばるが、この春季キャンプ期間中は多くの球団が狭い地域内にひしめく。カブスのあるシカゴとエンゼルスのあるアナハイムの距離は約2000マイル(約3200キロ)。直行便の飛行機でも4時間かかるし、時差も2時間ある。ところが、両チームのキャンプ地はわずかに約10マイル(約16キロ)しか離れていないのだ。
 
 ダルビッシュと大谷の対戦もプライベート・ジェットではなく、バスで15分ほどの移動で実現する。熱心な野球ファンの多くが公式戦よりむしろ春季キャンプ地を訪れることを楽しみにする理由がわかるだろう。オープン戦が行われる球場は収容観客数が1万人程度のサイズであることが多く、ファンと選手の間の距離も短く親密なものとなる。
 
 春季キャンプの経済効果も見逃すことが出来ない。グレープフルーツリーグはフロリダ州において年間7億7500万ドル(約828億円)を寄与していると言われ、その半分は州外からの訪問者からによるものだ。カクタス・リーグの経済効果はその半分程度と言われている。
 
 キャンプ用の球場を建設あるいは改修し、球団の誘致に取り組む付近の自治体は数多い。全米屈指の観光都市ラスベガスも春季キャンプの誘致に取り組んでいる。今のところラスベガスに拠点を移した球団はないが、クリーブランド・インディアンズとシカゴ・カブスがこの春ラスベガスでオープン戦2試合を行うことを決定している。もしその2試合のどちらかでダルビッシュに登板機会があれば、新たなメジャーリーグの歴史に名を残すことになるかもしれない。

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