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いまだ契約未定。イチローに衰えはあるのか? セイバーメトリクスから現状の立ち位置を分析

2018/02/15

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DELTA

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バックアップ外野手の補強は後回しにされる可能性が高い


 MLB各球団はイチローのことをどう見ているのだろうか。3つ目の図は昨季のMLBで外野手として200打席以上に立った選手のWAR(Wins Above Replacement)を表したものだ。WARとは打撃、守備、走塁での成績を集計し、代替可能選手に比べて何勝分多くチームにもたらしたかを推定したものだ。代替可能選手とは球団が最小のコストを払うことで獲得できるレベルの選手を表す。
 
 グラフを見るとヤンキースのアーロン・ジャッジを頂点とし、左側に向かうほどに傾斜が急で、右側に向かうほどにゆるやかになっている。他選手に大きな差をつけられる選手は非常に少ないのだ。イチローもかつてはこのグラフ左端の数人に位置する選手であった。
 
 昨季のイチローのWARは-0.2。ほぼ代替可能選手と同レベルだったといえる。イチローが球団から期待されるのはおそらくバックアップ、4番手外野手の役割だ。球団はバックアップ外野手の枠を、若手有望株に出場機会を与えるか、弱点にならないレベルの選手を最小のコストで獲得するかのどちらかで考えるだろう。バックアップ選手に高額をかける球団はいない。
 
 後者の球団は、この0.0前後に属しているような大勢の選手から誰を獲得するか選択することになる。イチローからすると、バックアップの枠を若手有望株に与える球団との契約は望みが薄い。最小のコストで済む選手を充てようとする球団ならば可能性はあるが、椅子は少なく、数多くの選手と競合している状態だ。
 
 また200打席以上の条件を満たしていないためグラフには記録されていないが、メジャーとマイナーを行き来しているような選手もこのレベルのはたらきができると想定されている。バックアップ外野手の枠を争うライバルはこのグラフで見える以上に多い状態だ。
 
 多くの候補がいる中からイチローとの契約を具体的に検討する球団は限られる。アメリカでは日本以上に加齢がパフォーマンスに大きく影響すると考えられているため、フロントがリスクを避け、オファーを見送る可能性もあるだろう。
 
 総合的に見るとイチローにとって現在の状況は好ましくない。このオフは大物FA選手の所属球団がなかなか決まらず、それに伴い全体的に選手の契約が遅れている。バックアップ外野手との契約はその中でも最も遅くなる可能性が高い。メジャー契約を勝ち取ろうとすれば、最後の最後まで待つことになるだろう。そして最後まで待ったとしてもオファーが届かないこともありえる。
 
※使用したデータはMLB公式、米データサイト・Fangraphsで公開されているものを参照している。

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