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シャーザー2年連続受賞の裏で…まさかの最多敗、屈辱の1年となった昨季サイ・ヤング賞右腕

2017/11/16

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 今季のサイ・ヤング賞が発表され、クリーブランド・インディアンスのコーリー・クルーバー投手、ワシントン・ナショナルズのマックス・シャーザー投手が選出された。シャーザーは2年連続での選出となり、2013年~2014年のクレイトン・カーショウ以来となる快挙を成し遂げた。
 
 一方、昨季はサイ・ヤング賞の栄誉を手にしながら、今季は苦しんだ投手がいる。ボストン・レッドソックスのリック・ポーセロ投手だ。昨季は33試合に登板して223回を投げ、22勝4敗、189奪三振、防御率3.15、Whip1.01という成績を残してサイ・ヤング賞に輝いたが、今季は33試合で203.1回を投げ11勝17敗、181奪三振、防御率4.65、Whip1.40と成績を落とし、最多敗を喫してしまった。
 
 今季はシーズン初登板こそ7回途中3失点で勝利投手となったものの、その後は黒星が先行。6月末で4勝10敗、そして7月は5戦4敗で4勝14敗と大きく負け越して勝負の夏場へ。
 
 しかし、8月は5勝1敗、9月は2勝2敗と持ち直し、なんとか11勝17敗という成績でフィニッシュ。チームも地区優勝を果たすことができたが、防御率4.65と、前年サイ・ヤング賞投手としては寂しい成績に終わってしまった。
 
 以下は、サイ・ヤング賞に選出された翌年に15敗以上を喫した投手たちだ。
 
1962年 ドン・ドライスデール(ドジャース) 25勝9敗→19勝17敗
1970年 ジム・ペリー(ツインズ)      24勝12敗→17勝17敗
1972年 ゲイロード・ペリー(インディアンス)24勝16敗→19勝19敗
1972年 スティーブ・カールトン(フィリーズ)27勝10敗→13勝20敗
1982年 スティーブ・カールトン(フィリーズ)23勝11敗→15勝16敗
1983年 ラマー・ホイト(ホワイトソックス) 24勝10敗→13勝18敗
1988年 オーレル・ハーシュハイザー(ドジャース) 23勝8敗→15勝15敗
2017年 リック・ポーセロ(レッドソックス) 22勝4敗→11勝17敗
 
 17敗は30球団全体でも最多敗で、被安打・被本塁打はリーグワースト。自責点もワースト2位の一方、48四球で181奪三振と、四球は少なく抑えて三振を量産していた。タイガース時代はゴロを量産して打たせて取る投球が持ち味だったが、レッドソックス移籍後は奪三振が増加。
 
 制球力が抜群だった昨季は奪三振が増加し、成績向上につながったが、今季は制球が甘くなり、痛打を許す場面が多く見られ成績も全体的に下がってしまった。
 
 また、本塁打を除く、グラウンド内に飛んだ打球が安打になった割合を示す「BABIP」が大幅に悪化していた。この数値は多くの場合.300近くに収まるが、昨季は”出来すぎ”の面が否めない.269という数字を叩き出しており、今季は.324まで悪化してしまった。
 
 むしろ、今季は運が悪い方に分類される数値となったが、これは要所でポーセロ自身の制球が甘くなり、対戦相手も研究を重ねた結果であることは間違いない。被本塁打もリーグワーストだったため、今季はア・リーグの先発投手の中で最も”滅多打ち”に遭った投手となってしまった。
 
 昨季、サイ・ヤング賞を分かち合ったシャーザーが2年連続受賞を成し遂げた一方、悔しいシーズンとなったポーセロ。来季こそは持ち味の制球力を取り戻し、復活した姿を見せたいところだ。