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1勝あたりの年俸コスト5倍の違いも 一長一短なMLB巨額契約【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、MLBの高額契約についてだ。

2015/02/23

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スターを確保できる一方で、大型契約の負債に苦しむ球団も

 MLBの大型契約について見ていこう。残金額にはオプションも含む。
 
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 このオフ、マーリンズの主砲ジャンカルロ・スタントンは13年3億2500万ドルという契約を結んだ。これは北米プロスポーツ史上最高額と言われる。
 スタントンはFA権を取得したばかりだ。マーリンズは、これまでの大型契約2回分に相当する金額で、スタントンのキャリアを買い占めたのだ。
 2位のアレックス・ロドリゲスはここ15年ほど、年俸トップの座を譲らなかった。30代半ばまでは、それに見合った成績を上げていた。しかし昨年は薬物疑惑で出場できなかった。ヤンキースはMLB一の金満球団と言われているが、ロドリゲスは深刻な「不良資産」となっている。
 3位のミゲル・カブレラの契約は2016年から。今の契約と合わせると実に16年4億ドルという巨額の契約になる。カール・ヤストレムスキー以来の打撃三冠王を獲得したカブレラは、現代の最高の打者と言われている。ただし、オプションも含めた契約が切れるのは41歳の時だ。
 4位のロビンソン・カノは、昨年ヤンキースからマリナーズに移籍。巨額の年俸を手にした。彼も契約満了時には40歳になる。
 5位のプホルズは、カージナルス時代は「三冠王に最も近い選手」といわれた。それが巨額契約でエンゼルスに移ってからは、そこそこの成績は上げているものの、タイトルとは程遠い状態だ。
 
 クレイトン・カーショウは投手の最高額。投手は野手に比べて故障のリスクが大きいため、大型契約は少ない。
 しかし昨年のMVPにふさわしく、単年の平均では3000万ドルを超える(年俸は均等ではなく、各年ごとに定められる。カーショウは2014年は400万ドル、2015年から3457.1万ドルとなる)。
 40歳まで一線で活躍する選手がほとんどいないことを考えると、こうした大型契約は現実的ではないように思える。なぜこのようなことになるのか?
 
 一つには市場原理が働き、有望選手の契約額が高騰することがある。辣腕の代理人が間に入り、価格を釣り上げるのだ。
 もう一つは、これらの契約にはオプトアウトや、バイアウトなど、契約破棄に関わる条項が定められていて、球団側もリスクを回避できるようになっている。リスクはある程度回避されているのだ。
 派手な契約金額がニュースになることは、球団、選手のアピールにつながるという判断もあるのだ。
 
 とはいっても、年俸の高騰が球団の経営を圧迫しているのは間違いない。それは球団の1勝あたりの年俸コストを見ればわかる。ア・ナ両リーグの1勝単価のランキングだ。
 
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 ヤンキースは1勝あたり260万ドル、アストロズの約5倍。アレックス・ロドリゲス、タシェアラ、CCサバシアなどの大型契約が、大きな負担になっている。
 ナリーグでは数年前まで無敵だったフィリーズが、当時の主力選手の年俸負担に苦しみ、補強がままならない状態だ。両リーグともに、1勝単価とチームの強さはほとんど関係がないことがわかる。
 
 MLBのビジネスは拡大しており、年俸の高騰には歯止めがかからない。
 MLB球団のGMたちは、そうした動きの中で、「良い選手を、いかに安く獲得できるか」を常に考えている。そのニーズに応えて有望選手=プロスペクトが現れるのだ。MLBならではの、そうした一面にも注意を向けてはいかがだろうか。
 
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