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年齢、レギュラー争い、環境、記録……戦う相手は数知れず。野球人・イチローをつくりあげてきた“挑戦”という道程

異例ずくめのVIP待遇だった。それだけマーリンズがイチローを評価している証でもある。そして、イチローは今年も『応援していただけるような選手』でありつづけるために、新しい挑戦に向かう。

2015/02/02

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数字は大切だが、全てではない

 控え選手としての再出発。あと156本に迫るメジャー通算3000安打への今季中の到達は、マーリンズ入団で困難になった。1年契約のため、出場機会の限られる今季で満足な数字を残せなければ、来季以降のメジャー生き残りも困難に。それは大記録達成への黄色信号を意味する。
 
「数字はもちろん大切なもの。これがなくては現役を続けていくことはできない。ただ、それが全てではない、ということははっきりと言える。その目標があるからという理由だけで、プレーを続けるのではない」
 
 金字塔へのモチベーションは否定しなかったが、同時にそのために現役にこだわっているわけではないと強調した。
 
 10月には42歳を迎えるシーズン。現時点で40人枠に登録されている野手の中では、現役メジャー最年長選手となった。
 
 避けられない、加齢という壁との戦い。そこにも、チャレンジャー・スピリットにブレはない。
「野球選手として嫌な年齢に来たなという印象ですね」。本音をのぞかせた後で、言葉に力を込めた。
 
「ただ、僕は41歳です。25歳でも45歳に見える人はたくさんいます。その反対であることができるように、ちょっとずつ前に進みたいなと思います」
 年齢と戦う。レギュラー争いで戦う。初体験のナリーグ、新天地という環境と戦う。もちろん投手と、相手バッテリーと、相手チームと戦う。戦う相手は数知れず。でもその挑戦という道程が、野球人イチローをつくりあげてきた。
 
 イチロー節とも評される独特の語り口は、少しも色あせていない。人生の哲学に触れ、時にユーモアも交えながら。イチローらしくセクシーに、新たな挑戦が始まった。

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